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第44話:サラ様に励まされました
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「きつい事を申してごめんなさい。でも私は、誰よりも傷つき苦しんだマーガレット様には、幸せになって欲しいのです。思い出してみてください。あなたが味わった地獄の1ヶ月を」
地獄の1ヶ月…
目の前で親友と愛する婚約者が裸で抱き合っていたあの姿…両親ですら私の言う事を信じてくれず、クラスメイトからも無視され暴言を吐かれ続けた日々。全てに絶望し、修道院に行こうとすら考えていたあの頃…
思い出しただけで、涙が溢れ出る。でも、そんな地獄から救い出してくれたのが、ローイン様だったのだ。
「ごめんなさい、あなたを泣かせるつもりではなかったのよ。大変、このままだとローイン様に怒られるわ」
サラ様が渡してくれたハンカチで、そっと涙を拭いた。
「サラ様、ありがとうございます。私、また自分を見失うところでしたわ。私はやっぱり、ジェファーソン様を受け入れるなんて到底無理です。それに私は…ローイン様を…愛して…いますし…」
蚊の鳴くような顔で呟く。私ったら何を言っているのかしら?恥ずかしいわ!
「マーガレット様は、ローイン様を愛していらっしゃるのですか?その気持ち、どうかローイン様に伝えてあげて下さい!きっと喜びますわ」
「あの…私は…」
「マーガレット様が恥ずかしがり屋という事はよくわかりましたわ。でも、気持ちは言葉にしないと伝わらないものです。そもそもローイン様は、マーガレット様が大好きなのですよ。きっと泣いて喜びますわ」
確かにローイン様が、私に好意を抱いてくれている事は知っている。でも、自分の気持ちを伝えるのはやはり恥ずかしい。
「あの…サラ様。実は私、ローイン様と正式に婚約を結ぶときに、自分の気持ちを伝えたいと考えております。私が婚約を結べるようになるまで、後1ヶ月半。どうかそれまで、待っていてくださいませんか?」
実は私、ずっと決めていたのだ。ローイン様と婚約出来たら、その時はきちんと自分の気持ちを伝えようと。
「まあ、そうだったのですね。私ったらついせかしてしまってごめんなさい。どのみちローイン様とマーガレット様の婚約まで、後1ヶ月半ですものね。分かりましたわ、どうか1ヶ月半後、あなた様のお気持ちをローイン様に伝えてあげて下さいね」
「はい、もちろんですわ。サラ様、今日はありがとうございました。私、もう迷いません。ジェファーソン様の件、もっとはっきりとNOと示しますわ」
「その意気ですわ、きっとマーガレット様なら大丈夫です。もし困ったことがあったら、何でも言ってくださいね。私はマーガレット様の味方ですから」
サラ様がにっこり微笑んでくれた。
私ったら何を迷っていたのかしら?私の中でもう結論が出ているのに。サラ様のおっしゃった通り、変な優しさはジェファーソン様を逆に傷つけるだけ。
これからは毅然とした態度で臨もう。
そしてローイン様…
彼にも私の気持ちをしっかりと伝えないと。ローイン様の事を考えたら、なんだか胸が温かくなった。早くローイン様に会いたいわ。今日は会えるかしら?
「マーガレット嬢、ここにいたのだね。サラ嬢、マーガレット嬢を守ってくれてありがとう」
私達の元にやって来たのは、ローイン様だ。後ろにはノエル殿下もいる。
「私は何もしておりませんわ。ただ、色々とマーガレット様とお話をしていただけです。ね、マーガレット様」
「はい、サラ様のお陰で、なんだか心が楽になりました」
「それは良かったですわ。せっかくですので、4人でお茶にしましょう。いいでしょう?ローイン様、ノエル様も」
「もちろんだよ。ローインもいいよね」
「マーガレット嬢がいいなら、俺はいいよ」
「まあ、どんな時でもマーガレット様が一番なのですね。ローイン様は本当にマーガレット様が大好きな様ですわよ」
私に向かってにっこり笑うサラ様。もう、サラ様ったら。私をからかって。
ただ…
私よりもずっと高貴な身分のサラ様だけれど、なんだかとても話しやすくて彼女といると落ち着くわ。
ローイン様と結婚したら、サラ様とも今後頻繁に交流を持って行く事だろう。これを機に、彼女とも仲良くなれたら。ついそんな事を考えてしまう。
その後は4人で仲良くお茶を飲みながら、楽しい時間を過ごしたのだった。
地獄の1ヶ月…
目の前で親友と愛する婚約者が裸で抱き合っていたあの姿…両親ですら私の言う事を信じてくれず、クラスメイトからも無視され暴言を吐かれ続けた日々。全てに絶望し、修道院に行こうとすら考えていたあの頃…
思い出しただけで、涙が溢れ出る。でも、そんな地獄から救い出してくれたのが、ローイン様だったのだ。
「ごめんなさい、あなたを泣かせるつもりではなかったのよ。大変、このままだとローイン様に怒られるわ」
サラ様が渡してくれたハンカチで、そっと涙を拭いた。
「サラ様、ありがとうございます。私、また自分を見失うところでしたわ。私はやっぱり、ジェファーソン様を受け入れるなんて到底無理です。それに私は…ローイン様を…愛して…いますし…」
蚊の鳴くような顔で呟く。私ったら何を言っているのかしら?恥ずかしいわ!
「マーガレット様は、ローイン様を愛していらっしゃるのですか?その気持ち、どうかローイン様に伝えてあげて下さい!きっと喜びますわ」
「あの…私は…」
「マーガレット様が恥ずかしがり屋という事はよくわかりましたわ。でも、気持ちは言葉にしないと伝わらないものです。そもそもローイン様は、マーガレット様が大好きなのですよ。きっと泣いて喜びますわ」
確かにローイン様が、私に好意を抱いてくれている事は知っている。でも、自分の気持ちを伝えるのはやはり恥ずかしい。
「あの…サラ様。実は私、ローイン様と正式に婚約を結ぶときに、自分の気持ちを伝えたいと考えております。私が婚約を結べるようになるまで、後1ヶ月半。どうかそれまで、待っていてくださいませんか?」
実は私、ずっと決めていたのだ。ローイン様と婚約出来たら、その時はきちんと自分の気持ちを伝えようと。
「まあ、そうだったのですね。私ったらついせかしてしまってごめんなさい。どのみちローイン様とマーガレット様の婚約まで、後1ヶ月半ですものね。分かりましたわ、どうか1ヶ月半後、あなた様のお気持ちをローイン様に伝えてあげて下さいね」
「はい、もちろんですわ。サラ様、今日はありがとうございました。私、もう迷いません。ジェファーソン様の件、もっとはっきりとNOと示しますわ」
「その意気ですわ、きっとマーガレット様なら大丈夫です。もし困ったことがあったら、何でも言ってくださいね。私はマーガレット様の味方ですから」
サラ様がにっこり微笑んでくれた。
私ったら何を迷っていたのかしら?私の中でもう結論が出ているのに。サラ様のおっしゃった通り、変な優しさはジェファーソン様を逆に傷つけるだけ。
これからは毅然とした態度で臨もう。
そしてローイン様…
彼にも私の気持ちをしっかりと伝えないと。ローイン様の事を考えたら、なんだか胸が温かくなった。早くローイン様に会いたいわ。今日は会えるかしら?
「マーガレット嬢、ここにいたのだね。サラ嬢、マーガレット嬢を守ってくれてありがとう」
私達の元にやって来たのは、ローイン様だ。後ろにはノエル殿下もいる。
「私は何もしておりませんわ。ただ、色々とマーガレット様とお話をしていただけです。ね、マーガレット様」
「はい、サラ様のお陰で、なんだか心が楽になりました」
「それは良かったですわ。せっかくですので、4人でお茶にしましょう。いいでしょう?ローイン様、ノエル様も」
「もちろんだよ。ローインもいいよね」
「マーガレット嬢がいいなら、俺はいいよ」
「まあ、どんな時でもマーガレット様が一番なのですね。ローイン様は本当にマーガレット様が大好きな様ですわよ」
私に向かってにっこり笑うサラ様。もう、サラ様ったら。私をからかって。
ただ…
私よりもずっと高貴な身分のサラ様だけれど、なんだかとても話しやすくて彼女といると落ち着くわ。
ローイン様と結婚したら、サラ様とも今後頻繁に交流を持って行く事だろう。これを機に、彼女とも仲良くなれたら。ついそんな事を考えてしまう。
その後は4人で仲良くお茶を飲みながら、楽しい時間を過ごしたのだった。
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