殺人令嬢の殺り直し。「真実の愛が芽生えた」と婚約破棄してきた王子の口を物理的に封じてみました。

セシリアは嘆息する。
「今回も駄目でしたわ」
彼女の足元には、冷たくなった婚約者が転がっていた。死因は失血死。
凶器の刃物はセシリアの手に握られている。

普通の侯爵令嬢だったはずのセシリアは、いつしか殺人鬼になっていた。
そして彼を殺したのは、今回が初めてではない。
(もう何回目だろう……)
数えることさえやめてしまった。
それでも、彼を殺すことはやめられない。

セシリアは自分の手を見る。
(真っ赤に汚れている)
素敵な旦那様と結婚して、幸せな人生を送ることが夢だったのに。
すべては王子が「真実の愛」を謳って自分を裏切ったせいだ。

許せない。絶対に許さない。
だから何度だって殺してやるのだ。
この死に戻りが終わる、その日まで――。


この小説は小説家になろう、カクヨムにも投稿しております。
24h.ポイント 0pt
0
小説 184,170 位 / 184,170件 恋愛 56,026 位 / 56,026件