選択を間違えた男
出席した夜会で、かつての婚約者をみつけた。
向こうは隣の男に話しかけていて此方に気づいてはいない。
「ほら、あそこ。子爵令嬢のあの方、伯爵家の子息との婚約破棄されたっていう」
「あら?でも彼女、今侯爵家の次男と一緒にいらっしゃるけど」
「新たな縁を結ばれたようよ」
後ろにいるご婦人達はひそひそと元婚約者の話をしていた。
話に夢中で、その伯爵家の子息が側にいる事には気づいていないらしい。
「そうなのね。だからかしら」
「ええ、だからじゃないかしら」
「「とてもお美しくなられて」」
そうなのだ。彼女は綺麗になった。
顔の造作が変わったわけではない。
表情が変わったのだ。
自分と婚約していた時とは全く違う。
社交辞令ではない笑みを、惜しみなく連れの男に向けている。
「新しい婚約者の方に愛されているのね」
「女は愛されたら綺麗になると言いますしね?」
「あら、それは実体験を含めた遠回しの惚気なのかしら」
婦人たちの興味は別の話題へ移った。
まだそこに留まっているのは自身だけ。
ー愛されたら…。
自分も彼女を愛していたら結末は違っていたのだろうか。
向こうは隣の男に話しかけていて此方に気づいてはいない。
「ほら、あそこ。子爵令嬢のあの方、伯爵家の子息との婚約破棄されたっていう」
「あら?でも彼女、今侯爵家の次男と一緒にいらっしゃるけど」
「新たな縁を結ばれたようよ」
後ろにいるご婦人達はひそひそと元婚約者の話をしていた。
話に夢中で、その伯爵家の子息が側にいる事には気づいていないらしい。
「そうなのね。だからかしら」
「ええ、だからじゃないかしら」
「「とてもお美しくなられて」」
そうなのだ。彼女は綺麗になった。
顔の造作が変わったわけではない。
表情が変わったのだ。
自分と婚約していた時とは全く違う。
社交辞令ではない笑みを、惜しみなく連れの男に向けている。
「新しい婚約者の方に愛されているのね」
「女は愛されたら綺麗になると言いますしね?」
「あら、それは実体験を含めた遠回しの惚気なのかしら」
婦人たちの興味は別の話題へ移った。
まだそこに留まっているのは自身だけ。
ー愛されたら…。
自分も彼女を愛していたら結末は違っていたのだろうか。
あなたにおすすめの小説
婚約破棄されましたが、私の前でついた嘘は全部現実になります
国のためを思って、自分にも他人にも厳しく生きてきた公爵令嬢ヴィクトリア。
その正しさゆえに、社交界でついた呼び名は「鋼鉄の悪役令嬢」。
婚約者のユリウス王子は言いました。
「お前は面白みがない。わたしは真実の愛を見つけた!」
――ピコーン♪
その夜から、彼女の前でつかれた嘘は、すべて現実になるのです。
「扇で頬を打たれましたの」→ バチーン!(本人に)
「ドレスを引き裂かれて…」→ ビリッ!(本人が)
「階段から突き落とされ…」→ ごろごろごろ(本人が)
生まれてから一度も嘘をついたことのない令嬢に、真実の女神さまがくれた祝福『ヴェリタスの鐘』。
断罪の夜会は大崩壊。それでも意地で婚約破棄を強行した王子を待っていたのは、
自分の嘘で自分の首を絞めていく、豪快な自滅劇。
婚約破棄された夜、冷酷公爵が「証拠なら三年分ある」と笑いました~妹に全部奪われた私は、今夜から重すぎる愛で囲われます~
建国祭の夜会で、第二王子は異母妹を選び、私に冤罪を突きつけた。
ドレスを切った? 階段から突き落とした? 宝石を盗んだ? ――全部、やっていない。けれど会場の誰も、私の弁明を聞かない。
衛兵に捕らえよと命じられた、そのとき。扉を開けて現れたのは、社交界で「北の魔狼」と恐れられる冷酷公爵。彼は私の前に膝をつき、こう言った。
「証拠なら三年分ある」
三年間、私を見続けていた重すぎる人の、重すぎる求婚と完璧な断罪返し。妹も王子も知らない。この方を敵に回すことが、この国で一番恐ろしいということを。
帰国した王子の受難
庶子である第二王子は、立場や情勢やら諸々を鑑みて早々に隣国へと無期限遊学に出た。そうして年月が経ち、そろそろ兄(第一王子)が立太子する頃かと、感慨深く想っていた頃に突然届いた帰還命令。
取り急ぎ舞い戻った祖国で見たのは、修羅場であった。
義妹で病弱でお邪魔な私
伯爵令息のフランと、侯爵令嬢のメリンダは婚約関係にある。
しかし二人がどこかへ出かけようとするたび病弱な義妹のアイリーンが体調を崩し、心配したフランが付き添いを申し出てメリンダとの約束を反故にする日々が続いていた。
当然メリンダの怒りや不満は、いつも真っ直ぐにアイリーンへと注がれる。
そんなこともお構いなしに、空気を読まずただひたすら優しい義兄でいようとするフラン。
本来ならアイリーンが二人の間を取り持つべきなのだろうが、メリンダの前でフランの面子を潰すような発言は許されないし、何より話す気力も起きない。
なぜならアイリーンは、常に体調が悪く息をすることもままならない、治癒士が何度治しても完治することのない身体だからだ。
幼い頃、森の中でひとり迷子になっていたアイリーンを見つけてくれたフランや、そのままアイリーンを養子にしてくれた伯爵家には、恩がある。
だからアイリーンは、ずっと我慢していた。
――「心から迷惑しています」と、口にすることを。
全八話、完結済。
実家も国も私を捨てたが、私を愛さないと国が滅びる。絶望する人々を特等席で眺め、冷徹な王子の腕の中で思考停止する。
持参金がないという理由で家族と祖国から追放された私は、実はこの国を支える“加護”そのものだった。
私が去った瞬間、王都の結界は崩れ、国は崩壊へ向かい始める。
そんな私を拾ったのは、冷徹と噂される隣国の王子。
「やっと見つけた。お前は俺のものだ」
捨てられたはずの私は、気づけば滅びゆく祖国を背に、彼の腕の中で溺愛されていた。