選択を間違えた男

出席した夜会で、かつての婚約者をみつけた。
向こうは隣の男に話しかけていて此方に気づいてはいない。

「ほら、あそこ。子爵令嬢のあの方、伯爵家の子息との婚約破棄されたっていう」
「あら?でも彼女、今侯爵家の次男と一緒にいらっしゃるけど」
「新たな縁を結ばれたようよ」

後ろにいるご婦人達はひそひそと元婚約者の話をしていた。
話に夢中で、その伯爵家の子息が側にいる事には気づいていないらしい。

「そうなのね。だからかしら」
「ええ、だからじゃないかしら」

「「とてもお美しくなられて」」

そうなのだ。彼女は綺麗になった。
顔の造作が変わったわけではない。
表情が変わったのだ。

自分と婚約していた時とは全く違う。
社交辞令ではない笑みを、惜しみなく連れの男に向けている。

「新しい婚約者の方に愛されているのね」
「女は愛されたら綺麗になると言いますしね?」
「あら、それは実体験を含めた遠回しの惚気なのかしら」

婦人たちの興味は別の話題へ移った。

まだそこに留まっているのは自身だけ。

ー愛されたら…。

自分も彼女を愛していたら結末は違っていたのだろうか。

24h.ポイント 21pt
1,381
小説 26,010 位 / 220,007件 恋愛 11,135 位 / 64,205件

あなたにおすすめの小説

それぞれのその後

京佳
恋愛
婚約者の裏切りから始まるそれぞれのその後のお話し。 ざまぁ ゆるゆる設定

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

悪役令嬢の去った後、残された物は

たぬまる
恋愛
公爵令嬢シルビアが誕生パーティーで断罪され追放される。 シルビアは喜び去って行き 残された者達に不幸が降り注ぐ 気分転換に短編を書いてみました。

王妃の条件、貴族学校成績優秀の妹が駄目な理由

キャルキャル
恋愛
すぐに読めるざまぁ話

あなたが決めたことよ

アーエル
恋愛
その日は私の誕生日パーティーの三日前のことでした。 前触れもなく「婚約の話は無かったことにしよう」と言われたのです。 ‪✰他社でも公開

巻き戻ったから切れてみた

こもろう
恋愛
昔からの恋人を隠していた婚約者に断罪された私。気がついたら巻き戻っていたからブチ切れた! 軽~く読み飛ばし推奨です。

呼ばれてもいないのに行ったら大変なことになりました

七瀬ななし
恋愛
公爵令嬢ソフィーは、悪意なく人を追い詰める“本物の天然”である。多忙な王太子と会えず寂しさを感じていた彼女は、ある日「小さなパーティーがある」と聞き、招待もないままサプライズ訪問を決行する。ところがその会場では、帝国の策略によって、若き貴族たちが薬を使われ、女性との関係を強制的に作らされるという不穏な集まりが開かれていた。 状況を理解しきらぬまま「なんということでしょう!」と叫び、人を呼んだソフィーの行動により、計画は一気に露見。王太子を含む関係者は処罰され、彼は継承権を失い戦場へ送られることになる。一方で、以前からソフィーに想いを寄せていた第二王子が新たな王太子となり、彼女との婚約が決まる。 結果として国家を救った形となり王から感謝されるソフィーだが、本人は戸惑い気味である。ただ一つ、「呼ばれていない場には行かない方がいい」という教訓だけを、春の出来事としてぼんやりと胸に刻むのだった。