『婚約破棄された令嬢、ゲームに存在しなかった男と恋をする~私を捨てた王太子はもう知りません~』
婚約破棄された瞬間、私は思い出した。
――この世界は、前世で遊んだ乙女ゲームの世界だ。
私は悪役令嬢、マルグリット・ド・ヴァロワ。
ゲーム通りなら、この先に待っているのは国外追放。そして、最後は処刑。
でも、もう王太子のために生きるつもりはない。
婚約破棄されたなら、王都を離れて領地へ帰ろう。
そこで私は知る。
荒れた農地。
壊れた水路。
魔物に怯える領民。
商人も寄りつかない、貧しい領地。
ゲームでは簡単に「発展する」と書かれていた未来も、現実ではそう簡単にはいかない。
だから私は、農民の話を聞き、専門家と考え、小さな改革から始める。
そしてゲームの記憶にあった、誰にも知られていない鉱山へ。
そこで私が出会ったのは――。
ゲームには存在しなかった、一人の騎士だった。
「その考え方は、あなたらしいと思います」
ゲームに書かれていた未来は、もう絶対ではない。
ならば。
私が選ぶ。
私が決める。
ゲームには存在しなかった未来を、私自身の手で作っていく。
そしていつか――。
私を捨てた王太子ではなく、私が選んだ人と生きるために。
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