好きな先輩を追って麻雀部に入っただけなのに、負けるたび強くなって全国王者の読みを壊してしまった 〜恋も友情も一打で変わる青春競技麻雀〜
麻雀なんて、ただの賭け事だと思っていた。
春野颯太が麻雀同好会の扉を開けた理由は、ひとつだけ。憧れの先輩・白峰澪のそばにいたかったから。牌の名前も、役も、点数もわからない。勝負の怖さも、負けた夜の悔しさも知らない。そんな初心者の一打が、青葉坂高校麻雀部の止まっていた時間を少しずつ動かし始める。
颯太を誰より近くで見つめる七瀬ひより。守ることで傷を隠してきた澪。明るい笑顔で颯太に近づく小日向まどか。背負う者、託す者、恋に揺れる者、勝ちたいのに前へ出られない者。それぞれの想いは卓上でぶつかり、嫉妬は鳴きに、憧れは押し引きに、片想いは最後の一牌に現れる。言えない気持ちは声にならない。けれど、指先は嘘をつかない。切った牌、止めた牌、鳴かなかった牌が、誰かの胸を静かに揺らしていく。
地区大会、県大会、合同合宿、全国大会。青葉坂の前には、攻撃だけで場を焼き尽くす高校、完璧な守備で未来を残す高校、AIのように期待値を積み上げる高校、山も河も心も読む怪物たちが立ちはだかる。強豪校の天才たちは容赦なく颯太たちを叩き潰す。けれど、彼らは負けるたびに少しだけ変わる。昨日できなかった一打を、今日の自分が選び取る。勝てない相手に出会うたび、仲間の声が遠くなり、卓上の音だけが胸に残る。それでも逃げない。
麻雀は一人で打つ競技に見えて、一人では勝てない。先鋒が失点を抑え、次鋒が流れをつなぎ、中堅が傷を修復し、副将が条件を作り、大将が仲間の全部を背負う。たった一枚の牌が、チームの未来も、恋の距離も、昨日までの自分さえ変えていく。誰かを好きになることは弱点か、それとも強さか。その答えも、彼らは卓上で見つけていく。
素人から始まった少年は、やがて全国王者・白凰学院の読みさえ壊す一打へたどり着く。
これは、牌に青春を賭けた少年少女たちの、熱くて苦しくて少し甘い、競技麻雀青春群像劇。
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