夏の大三角関係
寝苦しい熱帯夜。織子は寝ることを諦めて、夜の散歩へと繰り出す。
規則正しく聴こえる波音だけが遠くに聴こえる街の中をのんびりと歩き、小高い丘の頂上へと辿り着くと、丘の上に広がる向日葵畑の端に備え付けられたベンチで、のんびと空を見上げていた白鳥に声をかけられた。
「眠れないのかい?」
空を見上げたまま、優しく問い掛けてくる白鳥のそばへ歩み寄りながら、織子はコクリと頷いた。
「ええ。寝苦しくて。少し夜風に当たろうと思ったんです。それに、もうじきかなとも思ったので」
「ああ。そっか。でも、今日は無理みたいだよ」
困ったように眉尻を下げた白鳥の言葉に、織子は、軽く肩を落とす。
「期待して来たのかい?」
「いえ。今日は、月が明るいですから。そんなには」
視線を黒い海へまっすぐ投げながら、織子はかぶりを振った。
「でも、そろそろかなとは思っています」
海を見たまま、静かに言葉を交わす、織子と白鳥。夏の夜に向日葵畑で、二人が待っているものとは。
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