12 / 13
12.暴かれる真実 その2(ミゲル視点)
しおりを挟む
夢を見た。
可愛い妻に、可愛い子供が三人。
僕はソファに腰掛けて本を読んでいる。
子供たちは「パパー」なんて言って僕の方に寄り添ってきて、妻のマリアは幸せそうな顔をして僕の方を――。
「ミゲル・ゼルリングは嘘をついて、姉のリルアを追放しました! 今からそれを証明します!」
「――っ!?」
あ、あれ? なんでマリアが僕を睨んでいるんだ? あ、ああ、そうか、ショックで一瞬気を失っていたが、国王陛下に呼ばれているんだったな。
で、リルアが魔法で神具を壊したと言ったら、嘘つき扱いされたんだった。
「この神具は壊れてもなお、金属自体の特性は失われておりません。証拠をお見せしましょう」
「ま、まて、マリア。しょ、証拠って――」
「氷の刃ッ!」
マリアは手のひらから氷の刃を神具の残骸に放つ。
鉄をも穿つと言われているマリアのアイスニードルは残骸に当たった瞬間、銀色の光になったかと思うと消えてしまった。
う、嘘だぁ~~。あの神具、僕がサーベルでちょっと切り裂いただけで簡単に壊れたんだぞ……。
「炎の玉ッ!」
今度は火の玉を残骸に向けるマリア。
しかし結果は同じで残骸は焦げることなく火の玉は消失した。
えっ? えっ? えっ? 油かけて、火をつけたら簡単に焦げてボロボロになったのに?
ボロボロにして、鬱陶しいリルアをやっと追放できると万歳までしたのに……。
「ミゲルよ、ご覧のとおりだが。お前は確かにリルアが魔法で神具を壊したシーンを見たというのだな?」
「あばっ、あばばばば、ええーっと、み、見間違いだったかなぁ? えへへへへ」
「嘘偽りは許さんと前置きしたのを忘れたか!」
「う、嘘じゃありません! み、見間違いしただけですから~~~!」
そ、そ、そうだよ。み、見間違いだ。
嘘はついていないことにしなきゃ。じゃないと僕の公爵家でのハッピーライフは終わってしまう。
マリアとの結婚も出来ないし、これじゃ僕がバカみたいじゃないか。
「見間違いじゃと!? 貴様の権限で追放処分しておいて、間違っていたで済まされるか! ゼルリング公! お主の息子の不始末どうしてくれる!?」
「は、はい! 勘当します! バカ息子とは縁を切ります! も、もちろん、私も責任を負います!」
「は、はぁ~~! か、勘当!?」
か、勘当って、あの勘当!?
いわゆる、他人になるってやつ?
そ、そんな~~、ぼ、僕のハッピーライフは!? 可愛い三人の子供たちはどうやって暮らしていけば良いんだよっ!
「うむ。お主とは長い付き合いだが、爵位の剥奪は避けられんと思うとってくれ」
「しょ、承知しました」
「ち、父上! なんか言い返せよ! 勘当とか取り消せよ! おい、聞いて――へぶっ!!」
言いたい放題されている父上に食い下がるも、父上は僕の顔を思いきりぶん殴る。
い、痛い……。痛いよ、なんで、こんな目に遭うんだ……。
「ま、マリア! 僕は君を愛して……! 君のために――」
「汚らわしい手を今すぐに引っ込めなさい。わたくし、あなたを殺したいほど憎いんでいますの……! 抑制が利かなくなります……!」
熱い、熱い、熱い……! マリアの頭上に渦を巻いているのは紅蓮の炎。
あ、あんなのを僕にぶつけるつもりなのか……!?
う、うう、もう駄目だ……。何もかも終わった……。
「へ、陛下! 大変です! 大型の魔物の群がこの国に押し寄せて来ています! そ、その数……! 約五千体!!」
「ご、五千じゃと!?」
なんだ、なんだ?
この国がピンチってかぁ?
くっくっくっくっ、こりゃあいいや! 僕はもう破滅なんだからみんな終わってしまえばいい――!
可愛い妻に、可愛い子供が三人。
僕はソファに腰掛けて本を読んでいる。
子供たちは「パパー」なんて言って僕の方に寄り添ってきて、妻のマリアは幸せそうな顔をして僕の方を――。
「ミゲル・ゼルリングは嘘をついて、姉のリルアを追放しました! 今からそれを証明します!」
「――っ!?」
あ、あれ? なんでマリアが僕を睨んでいるんだ? あ、ああ、そうか、ショックで一瞬気を失っていたが、国王陛下に呼ばれているんだったな。
で、リルアが魔法で神具を壊したと言ったら、嘘つき扱いされたんだった。
「この神具は壊れてもなお、金属自体の特性は失われておりません。証拠をお見せしましょう」
「ま、まて、マリア。しょ、証拠って――」
「氷の刃ッ!」
マリアは手のひらから氷の刃を神具の残骸に放つ。
鉄をも穿つと言われているマリアのアイスニードルは残骸に当たった瞬間、銀色の光になったかと思うと消えてしまった。
う、嘘だぁ~~。あの神具、僕がサーベルでちょっと切り裂いただけで簡単に壊れたんだぞ……。
「炎の玉ッ!」
今度は火の玉を残骸に向けるマリア。
しかし結果は同じで残骸は焦げることなく火の玉は消失した。
えっ? えっ? えっ? 油かけて、火をつけたら簡単に焦げてボロボロになったのに?
ボロボロにして、鬱陶しいリルアをやっと追放できると万歳までしたのに……。
「ミゲルよ、ご覧のとおりだが。お前は確かにリルアが魔法で神具を壊したシーンを見たというのだな?」
「あばっ、あばばばば、ええーっと、み、見間違いだったかなぁ? えへへへへ」
「嘘偽りは許さんと前置きしたのを忘れたか!」
「う、嘘じゃありません! み、見間違いしただけですから~~~!」
そ、そ、そうだよ。み、見間違いだ。
嘘はついていないことにしなきゃ。じゃないと僕の公爵家でのハッピーライフは終わってしまう。
マリアとの結婚も出来ないし、これじゃ僕がバカみたいじゃないか。
「見間違いじゃと!? 貴様の権限で追放処分しておいて、間違っていたで済まされるか! ゼルリング公! お主の息子の不始末どうしてくれる!?」
「は、はい! 勘当します! バカ息子とは縁を切ります! も、もちろん、私も責任を負います!」
「は、はぁ~~! か、勘当!?」
か、勘当って、あの勘当!?
いわゆる、他人になるってやつ?
そ、そんな~~、ぼ、僕のハッピーライフは!? 可愛い三人の子供たちはどうやって暮らしていけば良いんだよっ!
「うむ。お主とは長い付き合いだが、爵位の剥奪は避けられんと思うとってくれ」
「しょ、承知しました」
「ち、父上! なんか言い返せよ! 勘当とか取り消せよ! おい、聞いて――へぶっ!!」
言いたい放題されている父上に食い下がるも、父上は僕の顔を思いきりぶん殴る。
い、痛い……。痛いよ、なんで、こんな目に遭うんだ……。
「ま、マリア! 僕は君を愛して……! 君のために――」
「汚らわしい手を今すぐに引っ込めなさい。わたくし、あなたを殺したいほど憎いんでいますの……! 抑制が利かなくなります……!」
熱い、熱い、熱い……! マリアの頭上に渦を巻いているのは紅蓮の炎。
あ、あんなのを僕にぶつけるつもりなのか……!?
う、うう、もう駄目だ……。何もかも終わった……。
「へ、陛下! 大変です! 大型の魔物の群がこの国に押し寄せて来ています! そ、その数……! 約五千体!!」
「ご、五千じゃと!?」
なんだ、なんだ?
この国がピンチってかぁ?
くっくっくっくっ、こりゃあいいや! 僕はもう破滅なんだからみんな終わってしまえばいい――!
応援ありがとうございます!
1
お気に入りに追加
2,478
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる