髪を失った世界
世界中で新種のウイルスが蔓延し、感染拡大を防ぐために日本政府が発表したのは、国民全員の「坊主義務化」。髪がウイルスの温床になるという科学的根拠のもと、人々は髪を剃ることを強いられる。次々と坊主になっていく国民の中で、24歳の野々香は髪を剃ることに強く抵抗する。しかし、周囲からの同調圧力や法的な罰則に追い詰められ、彼女は最終的に逮捕され、強制的に坊主にされる運命を迎える。
「髪を失うことは、自分の一部を奪われることなのか?」
自分のアイデンティティや誇りを髪に見出す野々香は、その決断と過程で心の揺れや社会の変化と向き合う。髪が象徴するのは単なる外見ではなく、個人の尊厳と自由。ウイルスに支配された世界で、人々は何を犠牲にし、何を守ろうとするのか――。
恐怖と不安に支配された社会で、失われるものの大きさに気づいたとき、私たちは何を選び取るのかを問いかける物語。
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