桃寺のわらしゃんど

 見事な桃が生るので桃寺と呼ばれた寺があった。邑の子供等には、鬼のような和尚の目
を盗んで桃を獲った者は剛の者として敬われるという噂が立っていた。その称号欲しさに
武家・百姓の別なく挑んだが、背中にも目があると言われる和尚にことごとく阻まれ、半
殺しにされた。今日もまた、性懲りも無く元服前の武家の子息が子分の百姓等を連れて桃
を盗みにやって来た。智恵があり俊敏な子息は、まんまと桃を手にした瞬間だった。
 地獄耳で聞き付けた鬼神の如き荒法師が現れた。仲間の子分等を逃がすため、子息が一
人和尚と対峙した。その場を何とか逃れた子息を、翌日和尚が追い駆けて来た。子息の親
である領主に、和尚が盗人の引き渡しを要求した。領主と和尚との交渉の末、子息は寺に
修行に出される事となった。子分である六人の百姓の童達が密かに集まって、寺に預けら
れた子息の身の回りの手伝いをした。

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