灯を継ぐ獣
父が消えてから、七年。
記憶師見習いの紡は、感情に蓋をしたまま静かな日々を送っていた。
そんなある日、役所から父の遺品が届く。
それは、一枚の古びた写真だった。
滅びたはずの廃都。
その中心で微笑む父。
そして、その背後に立つ巨大な白い獣。
あり得ない光景だった。
写真に触れた夜、紡は誰もいるはずのない部屋で父の声を聞く。
――すまない。
その一言に導かれるように、紡は幼馴染の朔、異国の学者カリナとともに禁じられた廃都へ向かう。
そこには、歴史から消された王国の記憶と、人々が神獣へ記憶を捧げる「不忘の儀」の痕跡が眠っていた。
なぜ王国は滅びたのか。
父は何を見つけ、何を隠したのか。
そして、一枚の写真に閉じ込められた本当の意味とは――。
これは喪失の物語ではない。
誰かを忘れないために生きるのではなく、
誰かの想いを未来へ渡すための物語。
涙の先に、小さな灯が残る王道ファンタジー。
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