陰キャ掃除係と魔王のおじさん 〜魔力ゼロの私が、この国で一番の魔法使いになるまで〜
魔力ゼロ。三年連続、記録なし。
王立オルド魔法学園の掃除係ミルカ・アルレンは、この学園で誰とも三往復以上の会話をしたことがない。挨拶と、謝罪と、「はい」の三つで、大体足りてしまうからだ。
そんな彼女の頭の中に、三日前から「おじさん」が住んでいる。
『──小娘。それは、食えるのか』
そして年に一度の、魔力測定の日。
おじさんは、百年ものの大水晶を食べた。学園中が見ている前で。
「ご、ごめんなさい」
『……美味かった』
弁償額、金貨三百枚。七日後までに、寮を出ること。
人生が終わった夕暮れに、おじさんはようやく名乗った。
『我が名はヴェルグリオス。──人間どもはかつて私を、魔王と呼んだ』
千年前に封じられた魔王は、詫びの代わりにこう言った。
『貴様を、この国で一番の魔法使いにしてやる』
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