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 竜の鱗にはさまざまな効能がある。  難病を癒す治癒薬にもなれば、失われた腕を生やしたり、死の寸前の大けがを回復させる治療薬ともなり得るのだ。  水の精霊王の庇護を受け、水運の発達した古都カルアドネには、一軒の部品屋がある。  船に積んだ魔導エンジンの修理部品を主に扱うその店では、新たな品目として、「竜鱗」を販売しようとしていた。  一年前、炎と水の精霊王の争いで婚約者を失った部品屋の娘マーシャ。  彼女は、その悲しみを乗り越えるため、研修を受けて「竜鱗」の販売資格を取得したのだった。  エンジン部品の棚がぎっしりと並ぶ店内の隅に、ちょこんと設けられたカウンターと、魔石ガラスによって厳重に警戒された巨大な真紅の竜の鱗。  販売するには購入する相手の病状を「色」で判断しなければならない。  新人、調鱗師マーシャは、店を訪れる人たちを癒し、交流を深めることによって、一人前に成長していく。  公開しております短編「婚約者の死の悼(いた)み方を、彼女は知らない。」の続編となります。  一部、被る部分もありますが、どうぞよろしくお願いいたします。
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文字数 14,039 最終更新日 2022.12.23 登録日 2022.12.17
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