最後の一工程は教えません 小説一覧
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研究ノートを盗まれたので、最後の一工程は教えません
王宮の地下三階、窓なし日当たりなしの「呪具係」。それがわたし、ネヴィアの職場です。
十二年で解いた呪いは九百件。表彰はゼロ回。功績は全部、魔術師団長のものになりました。「仕組みの話だ」そうです。
ある朝、抽斗の鍵が壊され、十二年分の研究ノート十二冊が消えました。三ヶ月後、書店に並んだのは『解呪大全――魔術師団長ゴドウィン著』。わたしの図版の癖まで、丁寧に丸写しで。
でもね、ひとつだけ教えてあげる。
あのノートには、書いていないことがあるの。
解呪の最後、九つ目の工程――抜いた呪いを鎮める《供養》。これを飛ばすと、呪いは三ヶ月後、倍になって戻ります。
わたしは訴えません。ただ、王都の外れに小さな店を出して、器を焼いて、待つだけ。
三ヶ月後の、行列のために。
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文字数 4,244
最終更新日 2026.08.17
登録日 2026.08.16
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