納棺師 小説一覧

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「不吉な納棺師はいらない」と王宮を追われました――ですが、棺の中の女公爵はまだ生きています

「棺の蓋を閉めないでください。この方は、まだ死んでおりません」 「死人に触れる不吉な女が、亡き姪の国葬を穢しにきたのです。――兵を」 「納棺師。何を根拠にそう言うのか」  三年前、侍医長の死亡判定に口答えをして王宮を追われた納棺師イルゼ。今は下町で葬儀を請け負う彼女が、亡き母を送った縁で、女公爵ロザリンデの最後の身支度を頼まれる。  清め油は生きた肌のように粒になり、三日横たわった身体に残るはずの痕がなく、奥歯の裏には琥珀色の樹脂。封棺の直前、イルゼは参列者の前で声を上げた。  叔父の侍医長は「不吉な女の妄言」と兵を呼ぶが、王室司法官テオドールは根拠を聞き、封棺を延期する。まず救命を。湯と温石で胸から温める手の下で、三日ぶりの鼓動が戻る。 「……さむ、い」  目覚めた女公爵は、自らの言葉で叔父を告発する。死者を見続けてきた手が生きている人を見つけ、軽蔑されてきた仕事が国の役目に変わるまで。そして「誰の葬儀でもない日に会いたい」と言う人が現れるまでの、納棺師の物語。
恋愛 完結 短編
感想数 0 文字数 11,520 最終更新日 2026.09.06 登録日 2026.09.06
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