隠れ富豪 小説一覧

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従兄が家族LINEで自慢した「国民的女優の彼女」を正月に連れてきてと頼んだ。本物の彼女は従兄に「あなた、誰?」と言って俺の腕に飛び込んできた

年の瀬、家族LINEに従兄の崇史が写真を貼った。 『紹介します。彼女の乙部瑠衣です』 相手は国民的女優。祖父母も伯母も、次々に祝いの言葉を並べる。 同じころ、鷺沢征吾はホテルの部屋でその写真を見ていた。横から画面を覗いているのは、写真と同じ顔だ。 「今年の正月は、ご両親に会わせてくれないの?」 実家の征吾は、安い車に乗る「底辺のサラリーマン」扱い。祖父には崇史と比べられ、大学院まで行かせた父まで責められる。父は、頷くだけ。 家族LINEで『生活写真は、ないの?』と聞いただけで、グループから退会させられた。 征吾は父のスマホを借りて頼む。正月2日の新年会に、彼女さんを連れてきてくれ、と。 『連れてくるよ。恥をかくのは誰かな』 新年会の座敷で、崇史が配った名刺には、どこかで見た社名が刷られていた。 卓の下で、瑠衣から『あと10分で着く』。 征吾は『来るな』と返す。既読は、つかない。 全八話。
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