ファンタジー 信仰小説一覧

2
僕は、<神>だ。 人間達は僕を<神>と呼ぶ。 だけど僕は、自分が何なのか知らない。確かに僕が思うだけで空は荒れ狂い地面は激しく揺れ、海が二つに割れることもある。 でも僕は、自分にどうしてそんなことができるのか、その理由を知らない。 僕は死なず、老いず、傷付かず、朽ちることがない。そうやって数万回、季節が巡るのを見守ってきた。 そんな僕を人間達は<神>と呼ぶ。 そう呼ばれることを僕は望んでもないのに、勝手にそう呼ぶんだ。 だから普段は、人間達の前には姿を現さないようにしていた。僕の気配を感じると人間達は勝手に、畏れ、崇め、敬うから。 やめろ…やめてくれ…… お前達がそんなことをするから僕はここから動けないんだ。人間達の<想い>が、僕をここに縛り付ける。 それを引きちぎって行くこともできなくはない。だけど僕はそれを選択できない。何故かって? 彼らが僕に<想い>を寄せることで、彼らは僕の<眷属>となり、彼らの<命>の一部を僕に預ける形になっているからだ。僕が彼らを見捨てていけば、彼らはその命を全うできずに死ぬ。 僕は滅ぶことのない存在だけど、だからこそ死ぬことができる彼らが羨ましい。 彼らが<死>を享受できることが妬ましいんだ。だからこそ僕は彼らに安易な死を与えたくない。不愉快だから。死ねない僕の前で死の安らぎを享受する彼らが許せないから。 生きろ。 人間達よ、生きろ。 生きることこそが、僕がお前達に与える<呪い>だ。 痛み、苦しみ、渇き、妬み、嫉み、悲しみ、憎しみを抱えて生きていけ。どうせお前達は、死ぬことでそれから逃れられるのだから。 けれど、最近、人間達は徐々に僕のことを崇めなくなっていった。僕を崇めなくても、何やら作物を上手く実らせる方法を見付けたらしい。 何かと言えば人間達が用意していた<生贄>もぱったり来なくなった。 おかげで僕は安穏とした時を過ごせていた。人間達に煩わされることなく。 なのにある時、大変な干ばつがあった。雨がまったく降らず作物は育たず、それは、大飢饉をもたらした。 僕は何もしてない。いや、もしかしたら何もしなかったから……かな? すると人間達はまた、僕の前に一人の女の子を寄越した。生贄だ。 ああ、もう、どうしてこうなるんだ…… こうして、僕と、生贄の少女<ヒャク>との日々が始まったのだった。
24h.ポイント 0pt
小説 184,169 位 / 184,169件 ファンタジー 42,277 位 / 42,277件
文字数 110,165 最終更新日 2020.12.25 登録日 2020.09.17
 世はまさに地獄。  悪党が溢れ、権力者は悪政を敷き、力の無い者は飢えに苦しむ。正義の光は既に無く、僅かに発生しても即座に潰された。  世界の道理は全て悪に染まる。公平・平等の言葉は当の昔に世から消えた。  世界・ブラットは何処までも蹂躙する者とされる者に分けられ、憂う者には死の鉄槌が下される。    その世界で生まれ、生活する一人の男が居た。  農民として暮らし、武器も振るえず、されど世界に染まらず普通を謳う。死ぬ事を決定付けられた存在はしかし、如何なる因果か奇跡と出会った。  これは一人の男が全員に勘違いされながら歩む世界浄化のお話。――愛と勇気を謳う、創生の王・マリンが歩む道程である。
24h.ポイント 0pt
小説 184,169 位 / 184,169件 ファンタジー 42,277 位 / 42,277件
文字数 32,888 最終更新日 2019.03.21 登録日 2019.03.09
2

アルファポリスのファンタジー小説のご紹介

アルファポリスのファンタジー小説の一覧ページです。
異世界転生から主人公無双、追放ものまでファンタジー小説が満載です。
異世界」 「転生」 「チート」 「勇者」 「剣と魔法」 人気のタグからお気に入りの小説を探すこともできます。ぜひお気に入りの小説を見つけてください。