恋愛 氷川神社 小説一覧
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百年を待つ
見沼の畔に棲む竜神には、誰にも語ったことのない、二つの恋の記憶がある。
遠い昔、身分違いの恋に自ら幕を引いた娘。戦火の中、彼の手を拒み、見沼に散っていった寿能城の姫。二度の喪失を抱えたまま、彼はただ、水底で長い時を過ごしていた。
そんなある夏、幼い少女と出会う。彼女の翳りに、遠い記憶の面影を重ねかけた竜神は、しかし出雲での過酷な日々を見守るうちに、面影ではなく、彼女自身に焦がれていることに気づいていく。
奪わず、急かさず、ただ待つこと。二度の喪失の果てに辿り着いた、不器用な愛し方で。
これは、『蛍を待つ』の"彼"が辿ってきた、誰も知らない道のりの物語。
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蛍を待つ
母を亡くし、居場所のない家で育った少女は、ある夏の日、禁足地とされる氷川神社の「蛍の池」で、不思議な男の子と出会う。二人だけの秘密の時間は、しかし理由も告げられないまま、唐突に引き裂かれてしまう。
継母のもとを離れ、出雲の見知らぬ土地で過ごした奉公の日々。そばにいてくれたのは、なぜか懐かない野良猫と、不器用な一人息子だけだった。
やがて大人になった彼女は、蛍の季節、再びあの神社の参道に足を向ける。そこで待っていたのは――記憶の中の、あの人だった。
名前も、素性も、確かめないまま。それでも、確かに感じる温もりだけを頼りに、二人は再び、少しずつ歩み寄っていく。
これは、確かめることより、待つことを選んだ女性の、静かな再生と恋の物語。
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