歴史・時代 花言葉 小説一覧

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逢坂の月、尾花のしらべ

音は、耳だけで聴くものだろうか。 平安の世。楽の名手・源博雅は、失われかけた琵琶の秘曲を求め、逢坂に住む盲目の奏者・蝉丸の庵へ通っていた。そこで出会ったのは、幼い日に聴力を失った少女・阿古。亡き母の声が記憶から薄れていく彼女に、博雅の笛は届かない。 二度叩く敷居、風に揺れる尾花。小さな合図を交わす日々が、音を伝えることの意味を変えていく。 そして三年目の月夜。待ち望んだ秘曲が響くとき、少女との約束が博雅の心を揺らす。 焼け跡にも芽吹く薄のように、喪失の先で育つ絆を描く。 『今昔物語集』の説話と、ススキの花言葉「心が通じる」「生命力」を織り込んだ、静かで温かな歴史短編。
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衣川に、静かな花は咲く

兄・頼朝に追われ、奥州平泉へ落ち延びた源義経。その傍らには、最後まで忠誠を誓う武蔵坊弁慶がいた。ある秋、弁慶は道端で踏み折られた「いきくさ」と、父を失った少年・三郎に出会う。 折れても根を張る草を館へ持ち帰った二人は、いつか花が咲いたら、その前で笛を聴こうと約束する。 しかし鎌倉の圧力は日ごとに迫り、静かな衣川にも運命の朝が訪れる。 「静寂」「静穏」「穏やか」「やさしい心」「信じて従う」――ベンケイソウの花言葉を、弁慶の剛勇の奥に秘めた優しさと、主従を越えた義経への信頼に重ねて描く歴史短編。 生きること、守ること、そして信じること。 倒れてなお伝説となった男が、未来へ託した本当の強さとは――。
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