「お前が部屋にいるだけで、吐き気がするほど臭うんだ。消えてくれ、無価値な置物め」
宮廷調香師のエルゼは、婚約者である王太子カイルから、あまりにも無慈悲な言葉で婚約破棄を言い渡される。 エルゼには、人の負の感情や国の歪みを「匂い」として吸着し、自らの香りに閉じ込めて浄化する力があった。 しかし、その身代わりの代償として彼女自身から漂う「泥の匂い」を、王太子は「不潔な悪臭」だと蔑み、華やかな香りを放つ義妹へと乗り換えたのだ。
着の身着のままで王都を追放されたエルゼ。 行き着いた先は、戦場での呪いにより視力と安らぎを失い、「腐臭が漂う」と恐れられる辺境伯ジークヴァルトの離宮だった。
「私の鼻はもう死んでいる。……君の匂いなど、どうせ分かりはしない」
孤独な二人が出会ったとき、エルゼの作る「祈りの香」が、彼の閉ざされた世界に光を灯していく。
一方、エルゼという『浄化の盾』を失った王宮では、抑え込まれていた瘴気が噴出し、かつてない地獄の悪臭が漂い始めていた――。
「今さら戻れと言われても、もう私の香りは、あなたのためには漂いません」
これは、自分の価値を信じられなかった少女が、盲目の英雄に愛され、最高の幸せを見つけるまでの物語。
文字数 47,988
最終更新日 2026.02.19
登録日 2026.01.31
「お前の魔法は石を積むだけの土木作業だ」と婚約破棄されたので、城を支えていた『構造維持結界』をすべて解除して出て行きますね。今さら「城が崩れる!」と泣きつかれても、私は隣国で氷結の皇帝陛下と「世界最高の聖域」を造っていますので、一切知りません。
王国唯一の建築魔導師アニエスは、その地味な見た目と能力を理由に、王太子シグムンドから婚約破棄と国外追放を言い渡される。 彼の隣には、派手な光魔法を使う自称聖女の姿があった。
「お前の代わりなどいくらでもいる。さっさと出て行け!」 「……分かりました。では、城にかけていた『自動修復』『耐震』『空調』の全術式を解約しますね」
アニエスが去った直後、王城は音を立てて傾き、噴水は泥水に変わり、王都のインフラは崩壊した。 一方、アニエスは隣国の荒野で、呪われた皇帝レオンハルトと出会う。彼女が何気なく造った一夜の宿は、呪いを浄化するほどの「聖域」だった。
「君は女神か? どうか私の国を救ってほしい」 「喜んで。ついでに世界一快適な住居も造っていいですか?」
隣国がアニエスの力で黄金の国へと発展する一方、瓦礫の山となった母国からは「戻ってきてくれ」と悲痛な手紙が届く。 だが、アニエスは冷ややかに言い放つ。 「お断りします。契約外ですので、ご自分で支えていればよろしいのでは?」
これは、捨てられた万能建築士が隣国で溺愛され、幸せを掴む物語。 そして、彼女を捨てた者たちが、物理的にも社会的にも「崩壊」し、最後には彼女が架ける橋の『礎石』として永遠に踏まれ続けるまでの、壮絶な因果応報の記録。
文字数 46,738
最終更新日 2026.02.09
登録日 2026.01.16
「汚らわしいその腕で、僕のセリナに触れるな!」
公爵令嬢エレナは、生まれつき「不浄の影」を持つとして家族から虐げられてきた。 実態は、妹セリナが放つ「光の魔法」が生む猛毒を、エレナが身代わりとなって吸い取っていただけ。 しかし、妹の暴走事故を自らの腕を焼いて防いだ日、エレナは「聖女である妹を呪った」と冤罪をかけられる。
婚約者である第一王子に婚約破棄され、実家を追放され、魔物が巣食う「奈落」へと突き落とされたエレナ。 死を覚悟した彼女を拾ったのは、夜の国を統べる伝説の龍神・ゼノスだった。
「これを不浄と言うのか? 私には、世界で最も美しい星の楔に見えるが」
彼に口づけで癒やされたエレナの腕からは炭化が剥がれ落ち、美しい「星の紋章」が輝きだす。 実はエレナの力こそが、世界を再生させる唯一の「浄化」だったのだ。
龍神の番(つがい)として溺愛され、美しく覚醒していくエレナ。 一方、彼女を捨てた母国では、毒の吸い取り役がいなくなったことで妹の「光」が暴走。 大地は腐り、人々は倒れ、国は滅亡の危機に瀕していく。
「今さら『戻ってきて毒を吸ってくれ』ですって? お断りです。私は夫様と幸せになりますので」
これは、虐げられた影の令嬢が真の愛を知り、偽りの光に溺れた妹と国が自滅していくのを高みの見物で眺める、大逆転の物語。
文字数 44,045
最終更新日 2026.02.03
登録日 2026.01.11
【R15:執着・監禁・溺愛】
「お前の純白を、俺の呪いで塗り潰してやる」
触れるものすべてを腐食させる「氷の魔公爵」ゼノス。 無能と蔑まれた公爵令嬢エルシアは、妹の身代わりに「生贄」として彼に売られた。
凍てつく死を覚悟した初夜。 だが、ゼノスの熱い指先が肌に触れた瞬間、エルシアの体は甘い痺れに支配される。
氷の呪いを溶かせるのは、エルシアの体温だけ。 彼女を「唯一の薬」と定めたゼノスは、冷徹な仮面を脱ぎ捨て、狂気的な執着を見せ始める。
「逃げられると思うな。お前の呼吸も、体温も、一滴の血まで俺のものだ」
首筋に刻まれた消えない呪印。五感を奪う贅沢な檻。 契約の終わりが近づくほど、彼の愛はより深く、より残酷にエルシアを侵食していき――。
――救いなんていらない。この地獄が、世界で一番甘いから。
文字数 40,364
最終更新日 2026.01.21
登録日 2026.01.10