【完結】影を失くした令嬢と影だけの騎士
「影のない者に、貴族の資格はない」冷たい宣告が、大広間に響き渡った。エリアナ・フォン・アルトハイムは、白い大理石の床に膝をついたまま、ただ震えていた。豪奢なドレスの裾が床に広がり、その周囲には——何もなかった。灯火が揺れても、誰かが横切っても、彼女の足元に影は生まれない。この王国では、影は魔力の源であり、貴族たる証だった。影が濃く、くっきりしているほど、その家の魔力は強い。アルトハイム伯爵家は代々、漆黒の影を持つ名家として知られていた。三日前までは。
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