クウォーク大帝国 潮の楔
海は与え、海は奪う―― 古よりシャガル族に伝わるその掟は、世界がまだ多くの異形とともにあった時代、人々の営みを支える真理であった。 絶対神クウォークがまだ影すら持たず、人ならざる者たちが山にも森にも海にも息づいていた太古。シャガル族は海霊を畏れ、祈りを捧げ、生贄の儀をもって海を鎮めてきた。しかし、かつて一度だけ――人々が豊穣に酔い、祈りを忘れ、贄を怠った時代があった。伝承はその夜を「海が黒く沸き立ち、魔が海霧とともに現れた時」と語る。
だが近年、ファルストルフ領近くの小さな神殿から、新たなシャガル族の記録が発見される。そこに記されていたのは、贄の儀を怠った時代の始まり
すべては、ひとりの青年と、生贄として選ばれた少女から始まっていた。
海とともに生きることを宿命づけられた青年ライサンダー。
そして“海に抱かれる贄”となる運命を背負った少女タレッサ。
二人の出会いは、やがて族の運命を変え、ひいては人ならざる者の歴史、そしてクウォーク教成立以前の世界の謎へとつながっていく。
これは、忘れられた民族・シャガル族の真実を紐解く物語。
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