《完結》婚約破棄、はい喜んで。失意の旅に出ている間に王家がなくなっていました
王太子から婚約破棄を告げられた公爵令嬢フリージアは、あっさりとうなずいた。
「はい、喜んで」
泣いて縋る必要も、相手の新しい恋人を責める必要もない。
婚約者として過ごすはずだった時間が空いたのなら、以前から行きたかった西方へ旅に出ればいい。
フリージアは家族へ、旅先から手紙を送り始める。
宿の煮込みは豆が多かったこと。東へ向かう職人を見かけたこと。
揺り籠や鍋、鶏まで積んだ荷車が増えたこと。パンが一人一つになり、宿の馬が減ったこと。
本人は、目についたものを書いているだけだった。
けれど、その手紙を日付順に並べた父と、国境を預かるアルセイド辺境伯ローゼルは気づいてしまう。
西方で、人と物資が動き始めている。
王宮が婚約破棄後の体裁と新たな婚約話に気を取られている間にも、職人は消え、馬と穀物は集められ、国境へ向かう道は少しずつ塞がれていく。
……そして「失意の旅」を続けていただけのフリージアが帰る頃、彼女を捨てた王家は、もうどこにも残っていなかった。
※王家や制度は独自のものなのでご了承ください。
「はい、喜んで」
泣いて縋る必要も、相手の新しい恋人を責める必要もない。
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揺り籠や鍋、鶏まで積んだ荷車が増えたこと。パンが一人一つになり、宿の馬が減ったこと。
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けれど、その手紙を日付順に並べた父と、国境を預かるアルセイド辺境伯ローゼルは気づいてしまう。
西方で、人と物資が動き始めている。
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