同盟のための契約結婚相手は陽気な獣人王でした——でも「契約だけ」と言った夜、私の菓子の前でだけ尻尾を垂れる
料理と菓子だけが取り柄の伯爵令嬢ミレーユは、人間と獣人の同盟のため、人狼の王ガルフのもとへ契約結婚で嫁がされた。
ガルフはいつも陽気で、尻尾を振るように笑い、ミレーユの焼く菓子を山のように平らげては全身で喜ぶ。けれどミレーユが「これは契約だけの関係です」と線を引いた夜だけ、王は不意に静かになり、月を見上げて黙り込む。明るいこの人は、群れのために自分の幸せをずっと諦めてきたのだと、彼女は少しずつ気づいていく。
やがて同盟の宴で、人間側の使者が王に毒を仕込む。獣人は人間の毒に弱い。王の体を食で支え、毒を見抜き、宴を救えるのは、料理人のミレーユだけ。失敗すれば同盟は崩れ、種族の戦争で多くの命が散る。
「料理人風情が王妃など」と嗤った人間の貴族たちの前で、ガルフはミレーユを「我が番《つがい》」と高らかに告げる。陽気な王が、ただ一人彼女の前でだけ見せていた本気の顔で。
ガルフはいつも陽気で、尻尾を振るように笑い、ミレーユの焼く菓子を山のように平らげては全身で喜ぶ。けれどミレーユが「これは契約だけの関係です」と線を引いた夜だけ、王は不意に静かになり、月を見上げて黙り込む。明るいこの人は、群れのために自分の幸せをずっと諦めてきたのだと、彼女は少しずつ気づいていく。
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