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5章 コスの人生

91話 世界会議よりも

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「では、学園の出し物はこのくらいで・・・何か他に案はありますか」


会議の司会をしているのは、ジャスチャー先生です、集まっている皆さんは既に意見を出し尽くし、後は準備をするだけなんだ、本体の僕は先生とは初対面なのであまりアクションは掛けません、しっかりと意見は言ってあるのでその必要もないんです、だけどそれ以上に僕は早く会議を終わらせたい気持ちですよ。
早く帰って、みんなのタキシードとウエディングドレスを作りたい、普通の布じゃなく魔法の布でキラキラした衣装を作るんだ、衣装チェンジでミニスカートになったりするのを作っています、あと少しで完成するんですよ。


「では会議を終わります、良い大会に致しましょう」


準備を頑張ろうっと、ジャスチャー先生が異様に張り切った感じです、その理由は簡単です、この大会は魔族が来るだけでなく、ほんとの平和が訪れる最初の大会なんです、笑顔が絶えないモノにしないといけないと先生たちは張り切っています。
ハーミオもいるし、僕がそこまで深入りしなくてもっと、ちょっと違う方に力を入れてるという訳です、その為にあるお店に入ります。


「いらっしゃいませ、エリナ様!?出来ていますよ」


僕が言う前に、店員さんは分かっているようで奥に案内されました、その先には学園の制服が並んでいます。
色々な服を作っているんじゃないの?っと思うかもですが、そこは学園の生徒たちの可愛そうな所なんだ、どんな時でも学園都市内では制服を着ないといけない、だからこれを作りました。
ウエディングドレスと同じ様に衣装チェンジが出来ます、ウエイトレスやダンスの為のドレスと様々です。


「魔力の消費はどれくらいに抑えたんですか?」

「はい、エリナ様のおかげで少量で済んでいます、裏地の魔法陣は素晴らしいですわ」


店員さんが凄く褒めてくれます、でも魔力充填の魔法陣と吸収の魔法陣を合わせただけです、裏地に縫い付ける案も、学園の子供たちがレース編みをしていたのを参考にしたんだ、だから生徒の楽しみを増やしてあげたいんです。
全校生徒に配るにはまだまだ数が足りません、糸を作る魔石も沢山用意し職人さんも雇用しました、衣装チェンジは鎧には転用できないけど、ローブ系を着てる冒険者には需要があります。


「将来ミスリルの糸でも出来る様にしたいですね」

「そ、それはさすがに無理なのでは?」


店員さんが顔をヒクヒクさせてます、僕は出来ると思ってるんだ、ただ値段が高くなるのが難点で、恐らく上級冒険者たちでもそうそう買えません。
学生服に袖を通し着心地を確かめると、なかなか暖かく、ふわっとしていて気持ちいいです。


「これなら生徒も喜ぶかな?」

「もちろんですよエリナ様、皆さんいつも言ってるんですよ、オシャレしたいって」


そうなんだねっと力説し始めた店員さんを捌きます、服に魔力を注ぐと服は虹色のドレスになりました、風も吹いていないのにヒラヒラとなびいてくれます。
僕のドレスなのでピンクの予定でした、だけどどうして?っと店員さんを見ます、僕の視線を避けました、つまりやっちゃったんです、僕の視線に勝てず頭を下げてきましたよ。


「すみませんエリナ様、凄いドレスを作っているうちに、みんなで試行錯誤して作っちゃいました」

「頑張ってくれたのは良いんですよミハピーさん・・・でもね、僕はそれほど注目されなくて良いんです」

「それはダメですエリナ様!あなたは勇者ですよ、誰よりも目立たなくてどうします」


凄みを帯びたミハピーさんに言われ、僕は何も言えなくなったよ、勇者とは平和の象徴になっています、注目されなくちゃいけない存在です。
僕が渋っているのには理由があります、虹色ドレスはあるコスになるからです、お転婆お姫様最強モードです。
彼女はトラブルメーカーで行く先々で何かの事件が起きます、学園祭がハプニングに巻き込まれるのが目に浮かびます。


「そんなにおイヤなんですか?」


潤んだ目をし始めたミハピーさんに負けた僕は、仕方なく着る事を約束したんだ、それと同時に大変にもなりました。
あのお姫様は問題を解決します、だけどそれはコスが完璧だから成り立ちます、つまり他のアクセサリーも準備しないといけないという事です。


「虹色の素材を探さなくちゃ・・・誰か知ってるかな」


分身たちからの情報を集め、海の底にいる龍や深い森の奥にいるヘビが標的になりました、どれも人が行ける場所ではないそうで、伝説になってる為いないかもしれないと付け足されました。
手に入らなかったら大変な事になる、そうはさせないっと僕は海に面したウインダムに転移します、そしてマーメイドのコスを着て海岸で準備運動を始めたんだ。


《ステータス》(コスプレ中)
【名前】遠藤竜(エリナ)
【年齢】16歳
【性別】女
【種族】マーメイド
【職業】コスプレイヤー(海のお姫様)
【レベル】1(500)
【HP】100(500万)【MP】50(750万)
【力】100(500万)【防御】100(500万)
【素早さ】150(750万)【魔法抵抗】50(1000万)
【魔法】
(水魔法レベルMax)
【スキル】
収納レベルMax
(格闘レベルMax)
裁縫レベル5
調理レベル3
【ユニークスキル】
コスプレ
永遠の16歳
不眠不休
(海の怒り)
不思議のダンジョンレベル5
《酒ダンジョン》
《野菜ダンジョン》
《肉ダンジョン》
《果物ダンジョン》
《魚ダンジョン》
【称号】
破滅のランナー・世界を越えたコスプレイヤー・お酒ダンジョン制覇者・魅了の笑顔・恐怖の笑顔・宣伝娘・お酒ダンジョン制覇者・お仕置き人・迷惑っ子・二つ名持ち・ドジっ子・野菜ダンジョン制覇者・闇のお仕置き人・最高の指導者・救済者・肉ダンジョン制覇者・心の壁制覇者・お魚ダンジョン制覇者・勇者


足がヒレだと少し変な感じです、周りの観光客もジロジロ見てきます、でも海の中に長く入るのでこのコスが最適でしょう。
観光客に手を振ってから海に飛び込み目的の場所まで高速で泳ぐと、段々あたりが黒く異様な風景に変わります、最初は綺麗な海の景色で良かったんだけど、小さな魚も可愛かったからね。


「これは・・・絶対にいるね」


ヌシがいる、そう直感して深い海底に潜ります、相手はどんな奴なのか、話の分かる者なら楽なんだけど、どうなるか分からない、ちょっと不安を抱きながらどんどん潜っていきます。
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