SOU互IZON2

ニンゲンの絶滅に関する説と、人工知能の創る社会の凡てに異を唱えた、革命型の変異種ロマニ。
全体意思と共に生き、それでも〝縄張りの拡張〟と〝暴力〟という、甲人の持つ二つの本能を結び付ける行動には、断固として反対する立場を貫こうとする、結界の守護者トウホ。
甲人国家最大最強の群れを率いて中央に君臨する、群司の王コガネ。
甲人という知的生命体の観察は二日目を迎え、観察の主体であるアスオを取り巻く環境が、少しずつであるが見えてきた。
社会構造だけでは無い。
甲人の有する、特殊な体構造も、アスオの得た知識と共に、少しずつ理解が深まってきた。
甲人にとって死は必ずしも終わりでは無く、人工知能により遺体が回収されれば、身体と生命が再生される事。
再生後、アスオに見られた症状として〝死に惚け〟と呼ばれる、記憶喪失状態が確認され、一定時間(未だ、時間的詳細は不明である)種別及び個体特有の能力を満足に発揮する事が、不可能になってしまう事。
人工知能と直接的に係わりを持つ種には、護衛が付けられ、アスオの種は、その護衛の役割を担う種である事。
そして現時点までの観察に於いては護衛役の種にのみ、体内に、刃物や毒などの、武器として用いられる部位が収納されているらしい事(群れに属さない〝有袋種〟は、護衛を持たず、臭液を発射する器官〝噴射口〟を有しているが、戦闘種と争える程の闘争能力は有しておらず、臭液は主に殺傷被害を受けた時、血液と共に相手に付着する性質のものであると推察される為、例外とする。また戦闘種に於いても、飽くまで現時点までの確認に拠るとする)が解った。
甲人社会の一年は、新生者達の誕生と共に始まり、既存者と新生者が、情報を相互に共有しながら経過していく。
新生者の中から有能な者や群れに必要な種を捜しだし、勧誘するのも、首長たる群司の役割である。
トウホの先代〝マズメ〟の時代からの恨みを忘れずに抱える近隣の群司〝ワラビ〟は、当代群司トウホの群れの運営を妨害する工作の一環として人材の枯渇を狙い、スカウトにより人的資源の先取りを毎年繰り返していた。
ワラビの群れの最強の護衛であるサマタと、記憶を失う以前〝現役最強の一人〟と称されていたアスオの死闘は、辛くも、アスオの勝利で決着したが、そのアスオも、自立できず、意識を保てない程の致命傷を受け、死を待つのみの状態まで、追い込まれていた。
時間は、容赦無く経過していく。
凡ての物理現象の内、最も残酷なものは時間の経過である。
何故ならば、凡ての事件、事故、災害、疾病等の災厄、及び喪失や離別は必ず、時間の経過と共にやって来るからだ。
初めての死、そして再生を経験し、友や主の為に懸命に戦い続けたアスオの生命は、再生から一日半で早くも失われようとしていた。



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