かゆい三日間
「落ち着いて。いいかい、よく聞くんだ」
静かな声でそう言うと、ヘイヤさんは、ミキさんと手をつないで、ゆっくりと楽園を見渡した。
「たしかに、僕たちはみんな、四日目の朝に、きれいさっぱり忘れた。――だけど、本気で思い出そうとすれば、今でも思い出せるはずだよ。ほんとはね」
ぼくは、ヘイヤさんを見つめた。ヘイヤさんは、なんともわからない顔で、続けた。
「みんなは、強い気持ちで――人によっては、弱い気持ちであったとしても――とにかく覚悟を決めて、雀になることを選んだんだ」
ミキさんが、つないだ手を少し振っていた。
「だけど、君はちがう。はずみでやってきたのに過ぎないし、君は自分で、帰るって決めた。だから君は、なにがなんでも思い出さなくてはならない」
(本文より)
※ステキブンゲイにて、ジャンル別ランキング(冒険部門)最高1位。
※表紙画像:渡辺省亭『Sparrows Flying』(1887年頃)
(画像引用元:ウィキメディア・コモンズ)
静かな声でそう言うと、ヘイヤさんは、ミキさんと手をつないで、ゆっくりと楽園を見渡した。
「たしかに、僕たちはみんな、四日目の朝に、きれいさっぱり忘れた。――だけど、本気で思い出そうとすれば、今でも思い出せるはずだよ。ほんとはね」
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