朧月の事件簿 ― 月は何も言わない
骨董品の鑑賞会が行われる旧家・西園寺邸。
結婚詐欺師として生きてきた大塚祐介は、かつての因縁を持つ骨董品詐欺師の田辺に同行し、その場に立ち会う。
祐介はテクニックがすごい詐欺師でもない。ただ、芸能人並みに顔がいい。祐介は騙しはしない。
屋敷には人が揃っている。
だが、確認されない異変が積み重なり、やがて使用人の一人が倒れているのが見つかる。
誰も騒がない。
誰も確かめない。
警察も呼ばれない。
祐介は語らず、判断せず、ただ配置と沈黙を見続ける。
言葉にされない違和感と、確定を避け続ける人間たちの選択が、静かに事件の輪郭を浮かび上がらせていく。
これは、真実を暴く物語ではない。
「なぜ、誰も確定しなかったのか」を描く、沈黙のミステリー。
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