猛毒の伯爵と、死にぞこないの狼 ――主従の契約は毒の血

「私の名はエレオノーラ。――ルプス、貴方の最後の主よ」
 泥にまみれ、廃棄を待つだけだった狼族の獣人、ルプス。
 絶望すら忘れた彼を拾い上げたのは、奴隷制度反対を掲げて国と戦う孤高の女性当主、エレオノーラだった。

 しかし彼女の歩む道は、どろりとした悪意に満ちている。
 先代伯爵の不審な死、アイゼンハルト伯爵家を敵視する貴族たち、そして心を蝕む強引な求婚。

 そんな彼女の重圧を『匂い』で辿り、エレオノーラの側へ行くものの、思い知らされるのは圧倒的な『格差』
 求婚を申し込む公爵家次男のガイアス。高級奴隷として心を殺し、完璧にかしずくルネ。
 エレオノーラの側には有能な者たちがひしめき、無力な自分を突きつけられる。

――このままじゃ、エレオノーラ様の側にいることなんて出来ない。

 ルプスはこの屋敷で、奪われていた本能を研ぎ澄ませ、這い上がることを決意する。

 廃棄寸前の最底辺から、孤高の女主人の『盾』となり、彼女の『唯一の従者』の座を勝ち取るまでの、忠誠と再起の物語。

※本作は、狼族の青年・ルプスと、その主であるエレオノーラの二人を軸に描くファンタジーです。主従それぞれの視点から、運命に立ち向かう姿を多角的に描写しております。繊細な心理描写、政争、駆け引きといった骨太なストーリーを重視しております。
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