愛して欲しいと言えたなら
その頃、数時間前の夏樹と直美の会話を知ってか知らずか、
雪子は、不意に左手の袖をまくって、左手首に残るリストカットの傷跡を裕子に見せた。
「ふーちゃんね、きっと、気がついたと思うんだ」
「気がついたって、その傷跡に?」
「だから、きっと、ふーちゃんには分かっちゃったと思うんだ」
「分かっちゃったって、何を?」
「私が、ふーちゃんに会いに行った意味」
そう言いながら、ボトルのウイスキーをグラスに注ぐ雪子。
雪子は、季節に限らず、どんなに暑い日でも、いつも、長袖のカーディガンを着る癖がある。
それは、左手首に残る傷跡を隠すためでもあり、
同時に、その行為は、自分が生きてきた人生から目を背け続けながら暮らす日々の中で、
どんなに色あせても、決して消えない背徳の感情がそうさせてしまうのかもしれない。
雪子は、不意に左手の袖をまくって、左手首に残るリストカットの傷跡を裕子に見せた。
「ふーちゃんね、きっと、気がついたと思うんだ」
「気がついたって、その傷跡に?」
「だから、きっと、ふーちゃんには分かっちゃったと思うんだ」
「分かっちゃったって、何を?」
「私が、ふーちゃんに会いに行った意味」
そう言いながら、ボトルのウイスキーをグラスに注ぐ雪子。
雪子は、季節に限らず、どんなに暑い日でも、いつも、長袖のカーディガンを着る癖がある。
それは、左手首に残る傷跡を隠すためでもあり、
同時に、その行為は、自分が生きてきた人生から目を背け続けながら暮らす日々の中で、
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