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第二章
25結婚式
しおりを挟む一か月後、結婚式が行われた。
同盟国、友好国を招いての立派な結婚式だった。
国民は王弟殿下の結婚を心から喜んだ。
隣国の貴族である事で一部では嫌味を言われることも多かったがカナリアはその嫌がらせを逆手にとって自滅するように仕組むけたのは別の話だった。
「おめでとうございます」
「ありがとうございますアレーシャ様」
「おいおい、何時までも他人行儀だな…義姉と義妹なのに」
傍に寄り添うレオンハルトが苦笑する。
「申し訳ありません」
「兄上、無理を言わないでください」
自由過ぎる兄に困り果てるもそれだけカナリアを認めてくれているのだと思った。
「しかし、東帝国の使者の方を女性に限定したのは何故なのだ?」
「はい、この挙式に乗じて貿易をするつもりですわ」
「カナリア…」
自分の結婚式も仕事に使うしたたかさとちゃっかりしている。
「公の場ですから大ぴらには致しません。ですがチャンスを逃がしてはなりません」
「頼もしい限りだな…前代未聞だが」
「ご心配なく、披露宴の時に宣伝します」
何処までも通常運転のカナリアに呆れるのを通り越して尊敬するエディミオンは笑みを浮かべる。
「ははっ…頼もしいな」
「いいのか、弟よ」
大事な結婚式であるが、夢やロマンよりも現実主義な二人らしい判断だった。
実際、今日の挙式の余興や、披露宴での催し物は女性から関心を寄せられ国の代表、特に女性側は自国にも欲しいと思われたのだった。
「カナリア」
「お母様!」
「素晴らしい式だったぞ」
挙式が終わり披露宴が始まる頃、両親が挨拶に来た。
娘の晴れ姿をようやく見れて安堵した表情を浮かべる二人。
「エンディミオン様、色々至らぬことがありましょうが…」
「いいえ、そのような」
二人は深々と頭を下げるも。
「どうか頭をお上げくださいませ」
「はっ…王太后陛下」
二人は緊張した表情で挨拶をしようとするも。
「本日は身分は関係ありませんわ。どうかお楽になさってください」
「しかし…」
相手は元王妃であり、女王でもあった人物だ。
現役を退きながらも政治権力は未だに健在で、子爵夫妻が目を合わせる事も困難な相手だったが。
「カーラ様には生前にお世話になりまして」
「えっ…」
両親の表情が変わる。
彼女も知らなかった事実を知らされることになりカナリア同様に驚愕した。
「本当ご息女はカーラ様の血筋を引き継いでますね。こうして彼女の血が引き継がれているなんて喜ばしい」
「母上、もう少しオブラートに包んでください」
いきなり一度に聞かされたら驚くのは仕方ない。
折角のお祝いにウィスター夫妻は恐縮するばかりだったが、エンディミオンやエスターのフォローにより披露宴を楽しむことができたのだが…
「許せない…あんな格下の女と」
柱の陰から嫉妬心を向ける一人の女性がカナリアを睨みつけていた。
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