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第三章
33守る為の対策
しおりを挟む「爵位を与えるか、もしくは」
お茶が冷める中、ふと零したカナリアはため息をついた。
「いいえ、セリアの気持ちが最優先ね」
「だが、確実な方法で守るには再婚か」
「伯爵閣下が許すかどうか」
訳ありでアレーシャの実家に養子縁組をしたのだが、アレーシャの父セルジオは寡黙ながらもセリアを溺愛していると報告が来ている。
愛情の表し方がまどろっこしくて非常に解りにくい男であるが、セリアの息子達にこっそり贈り物をしたり、馬をプレゼントしたりしている。
「ツンデレ伯爵が許しますか?」
「言ってやるな。あの人はその…」
「聞いてますわよ。愛する妻の約束だとか言って色々すっ飛ばしてやらかしたのでしょう?」
事情も間接的に聞いているが、カナリアから言わせれば何も言わないで解ってもらうなんて虫が良すぎると思った。
「私の父も口下手な方でしたが母への愛情の示し方はちゃんとしてましたわ」
「君の両親の愛情の示し方は仕事に直結しているだろう」
「勿論ですわ」
仕事が恋人の両親ゆえに解り合っている男女と同じにされてはたまらないのだが。
「せめて良い相手と再婚出来たら一番安心ですわ」
「だが無理強いはできないだろ」
「ええ」
過去に夫に酷い仕打ちを受けたのであれば無理にとはいえないが、ここままだとライアン達の時のような事が起こる気がする。
「何よりゴキブリ達が不名誉な噂を流しそうですわ」
「入国はできないだろうが、隣国で不名誉な噂を流されては困るからな」
「ええ…」
これ以上傷ついて欲しくない。
セリアもミリアの何も悪い事をしていないのに傷つけられ蔑まれてしまった。
「失礼します」
「ユリア?」
二人でああでもないこうでもないと悩んでいる最中、ユリアが遠慮がちに入室して来た。
「どうしたんだユリア・・・まさか兄上がまた何かしたのか?それとも母上か!」
「神経質になり過ぎですわよ」
「しかしだな…」
ユリアがいきなり部屋に入って来る時は決まって何か厄介事が起きた時か起きる前である事が多かった。
「たいしたことではございません」
「そうかそうか、それは良かった」
安心したエンディミオンは一息つこうと冷めたお茶を飲もうとしたが。
「セリア様がご求婚されましたので」
「そうかそうか、セリアが求婚されたか。それはおめでたいな…って何だってぇ!」
やっぱり厄介事が起きたのだった。
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