殿下、婚約者の私より幼馴染の侯爵令嬢が大事だと言うなら、それはもはや浮気です。

 子爵令嬢サラは困っていた。
 婚約者の王太子ロイズは、年下で病弱な幼馴染の侯爵令嬢レイニーをいつも優先する。
 会話は幼馴染の相談ばかり。
 自分をもっと知って欲しいとサラが不満を漏らすと、しまいには逆ギレされる始末。
 いい加減、サラもロイズが嫌になりかけていた。

 そんなある日、王太子になった祝いをサラの実家でするという約束は、毎度のごとくレイニーを持ち出してすっぽかされてしまう。
 お客様も呼んであるのに最悪だわ。
 そうぼやくサラの愚痴を聞くのは、いつも幼馴染のアルナルドの役割だ。

「殿下は幼馴染のレイニー様が私より大事だって言われるし、でもこれって浮気じゃないかしら?」
「君さえよければ、僕が悪者になるよ、サラ?」

 隣国の帝国皇太子であるアルナルドは、もうすぐ十年の留学期間が終わる。
 君さえよければ僕の国に来ないかい?
 そう誘うのだった。

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