ひょんなことから、猫又人生38才目がはじまりました
熊本市に生きる、万年課長補佐の佐藤和雄、三十七歳。うだつは上がらないが、人の良さだけは本物だった。ある五月の雨の夜、路面電車のレールに迷い込んだ仔猫を助けようとして、あっけなく人生の幕を下ろす。
気がつけば、加藤神社の境内。体は黒猫、尻尾は二股、目にはなぜか人の感情が色で見える——気づけば猫又になっていた。
人間の記憶と知恵はそのまま。ついでに独身三十七年の純潔も、そのまま。神様いわく「力が盛られてる」らしい。
通町筋の賑わい、熊本城の石垣、路面電車の走る街。猫又おじさんは今日も熊本を駆け回る。ちょっとだけ不器用な力を携えて。
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