『婚約者を妹に奪われたので、王都で「別れの手紙」を代筆します 〜捨てられ令嬢の言葉が、冷徹王弟と国中の運命を書き換えてしまいました〜』
「お姉様なら、譲ってくださるでしょう?」
妹の誕生祝いの席で、伯爵令嬢リディアは八年間の婚約を解消された。婚約者ユリウスが選んだのは、泣きながら彼の腕に縋る妹エミリア。父は「お前は強いのだから耐えられる」と言い、母代わりの伯母は、妹の結婚支度を手伝えと命じた。
強いのではない。ただ、泣けばさらに面倒になるから黙っていただけだ。
リディアは初めて家族の命令を断り、亡き母の古い机だけを持って王都へ出る。そこで見つけたのは、母が結婚前に営んでいた、埃だらけの小さな代筆店だった。
読み書きのできない人のために、謝罪、求婚、絶縁、遺言を書く「月灯りの手紙屋」。リディアには、手書きの文字に残った、書き手がどうしても書けなかった一文を聞く力があった。しかし、人の本音は美しいものばかりではない。愛しているから別れたい妻、帰れないのに待っていてほしい兵士、娘に謝りたいのに自分は悪くないと言い張る父。依頼人たちは皆、勝手で、臆病で、どこか憎みきれなかった。
開店七日目の夜、黒衣の男が半分焼けた王家の手紙を持って現れる。
「亡き王妃が、最後まで書かなかった言葉を読め」
男の正体は、笑わないことで知られる王弟レオンハルト。十五年前の王宮火災以来、母である王妃の死に囚われている彼だった。
やがて一通の手紙は、王国中から消えた十三通の書簡と、リディアの母の失踪へ繋がっていく。冷徹な王弟と何度も衝突し、少しずつ互いの孤独を知りながら、捨てられ令嬢は誰かの言葉ではなく、自分自身の人生を書き始める。
妹の誕生祝いの席で、伯爵令嬢リディアは八年間の婚約を解消された。婚約者ユリウスが選んだのは、泣きながら彼の腕に縋る妹エミリア。父は「お前は強いのだから耐えられる」と言い、母代わりの伯母は、妹の結婚支度を手伝えと命じた。
強いのではない。ただ、泣けばさらに面倒になるから黙っていただけだ。
リディアは初めて家族の命令を断り、亡き母の古い机だけを持って王都へ出る。そこで見つけたのは、母が結婚前に営んでいた、埃だらけの小さな代筆店だった。
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やがて一通の手紙は、王国中から消えた十三通の書簡と、リディアの母の失踪へ繋がっていく。冷徹な王弟と何度も衝突し、少しずつ互いの孤独を知りながら、捨てられ令嬢は誰かの言葉ではなく、自分自身の人生を書き始める。
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