異質な視線
放課後にみんなとする遊びは、いつも、とっても楽しい。学校が終わると、みんな一目散にグランドに駆け出して、ただみんなではしゃぐ。賑やかなあの時間。僕はそれが好きだった。5時のチャイムが鳴るまで、必死に遊んだ。家の門限があったから、5時半にはみんなと別れ、家の隣に住む同級生と共に下校する。ただっぴろく広がる田んぼを見ながら、舗装されていない帰り道を、二人で歩く。帰り道の途中の、小さな商店。所々黄ばんだ看板、少し濁った光で満ちた店内。背の少し曲がった店主の丸眼鏡は、その大きな目をすっぽり覆っていた。下校中、そのお婆さんは大抵、店外で何かの食品を整理していた。僕達が挨拶をすると、目尻を優しくすぼめながら、暖かな声で挨拶を返してくれた。家まで後少しの所では、帽子を被ったおじさんが、ビニルハウスでネギを作っていた。泥の飛び散った作業服と、夕陽を反射する長靴が印象的だった。挨拶をすると、元気に挨拶を返してくれる人だった。帰路を共にした同級生とは、あだ名で呼び合う仲。朝も一緒にそいつと登校した。背の小さく、小太りな奴。同級生とは思えないほど、僕とは身長差があった。ある日、そいつとキャッチボールをした。2人とも野球をやったことはなかったが、彼の親父は高校球児だったので、彼の家にはグローブが幾つかあった。彼とそれを持ち出して、同じく彼の家にあったボールも持ち出した。車が道を通ることなんてめったにないから、2人の家の前の道を使った。初めてするキャッチボール。彼の手からボールが放たれようとしていたまさにその時だった。じとりした視線を感じた。帰り道の途中の、暖かな視線。それとは全く異なった、変態的な視線。そしてそれは、僕の家の前に道路を挟んで立っている古びた家から来ていた。僕は反射的にその家の2階を見た。目が合った。こちらを見ているその眼は、冷徹で、ギロリと光っている。僕の身体にまとわりつくその視線に、僕の身体は、一瞬で硬直した。
ゴスッ!突然頭に響いた衝撃で、僕は我にかえった。「おい、大丈夫か!?急によそ見すんなよな。」彼の声が聞こえたその瞬間、僕は反射的にグローブを彼に投げつけていた。彼は何か叫んでいたけど、それどころじゃない僕は自分の家に逃げ込み、鍵をかけた。それから自分がどうしたのかはあまり覚えていない。後で聞いた話だが、あの古びた家には3人住んでいたらしい。2人は亡くなって、今は1人だけ。私の両親がこの地に家を建ててから、彼らはその1人の姿だけは見たことがない。一人息子で、私の両親より歳上。情報はそれだけ。両親がこの地に住み始めたのは、僕が2歳の頃。それ以来、私は彼にずっと監視されているのかもしれない。まだ彼は生きている。私は大人になった今、両親の世話をしながら、この地にまだ住んでいる。いまだに私は忘れられないのだ。あの視線が。僕にまとわりつく、あの視線が。
ゴスッ!突然頭に響いた衝撃で、僕は我にかえった。「おい、大丈夫か!?急によそ見すんなよな。」彼の声が聞こえたその瞬間、僕は反射的にグローブを彼に投げつけていた。彼は何か叫んでいたけど、それどころじゃない僕は自分の家に逃げ込み、鍵をかけた。それから自分がどうしたのかはあまり覚えていない。後で聞いた話だが、あの古びた家には3人住んでいたらしい。2人は亡くなって、今は1人だけ。私の両親がこの地に家を建ててから、彼らはその1人の姿だけは見たことがない。一人息子で、私の両親より歳上。情報はそれだけ。両親がこの地に住み始めたのは、僕が2歳の頃。それ以来、私は彼にずっと監視されているのかもしれない。まだ彼は生きている。私は大人になった今、両親の世話をしながら、この地にまだ住んでいる。いまだに私は忘れられないのだ。あの視線が。僕にまとわりつく、あの視線が。
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