切り捨てられた世界で
山奥で子ども健康道場を開く「秋嶺山荘」に、今日も一縷の望みを託した親たちが病気や障碍を持った子どもを連れて来る。しかし山荘のオーナーには秘密の過去があった。それを探り強請る者、オーナーの命を狙う殺人鬼、ネットに跋扈する影、そしてぶら下がる死体。社会から隔絶された世界へ押し寄せるいくつもの謎に正解はあるのか。【第69回江戸川乱歩賞一次選考通過作】
あなたにおすすめの小説
寄生虫の復讐 ~美咲の冷徹な一刺し~
「お前みたいな寄生虫はゴミだ」
10年尽くした夫・雅也から突きつけられたのは、離婚届と不倫相手。
彼は知らない。私が家を飛び出した「サカモト・ホールディングス」の令嬢であることを。
そして明日、彼が人生を賭けて挑む調印式の相手が、私の実父であることを。
どん底に叩き落とされたサレ妻による、容赦なき「経済的破滅」の復讐劇。
初めて義実家挨拶に行ったら彼氏の母親に残飯を押し付けられたので、速攻で彼氏の口に突っ込んでやった
初めて、三年付き合った彼の実家へ挨拶に行くことになった。
私は出発前、拓海に何度も念を押した。長ねぎや生姜、にんにくは、体質的にどうしても受けつけない。少しでも口にすると、すぐに吐いてしまう。避けるのが難しいなら、自分だけ外で食事を済ませても構わない、と。
「玲奈のことなら、ちゃんと分かってる。母さんにも伝えておくから安心して」
食卓に並んだ鶏肉の煮物や魚の揚げ物、野菜の和え物には、ねぎも生姜も見当たらなかった。
私は、彼が本当に伝えてくれたのだと思った。
ところが美代子は、にんにくも生姜も細かく刻んで煮込んであるのだと、笑いながら明かした。そんなものはただの好き嫌いで、親に甘やかされて育っただけだとまで言われた直後、胃が激しく波打ち、私は洗面所の入口で吐いた。
口をすすいで戻ると、彼女は台所から酸っぱい臭いのする残り物を二皿持ってきて、私の前へ押し出した。
「女もスーパーの惣菜も同じよ。選んでもらえるうちが花なの。年を取ってからあれこれ条件をつけていたら、最後は売れ残るだけでしょう?」
三年付き合った恋人を見ると、拓海はスマートフォンを眺めたまま、顔も上げなかった。
私はポテトサラダを大きくすくい、そのまま彼の口へ押し込んだ。
「自分で食べさせられて、やっと分かった? こんなもの、人に出していい料理じゃないって」
あの日、私はようやく理解した。
彼らが欲しかったのは家族ではない。食卓で黙って頭を下げ、この家の生活まで支え、何をされても逆らわない女だったのだ。
けれど、選ぶ相手を間違えたのは、彼らのほうだった。
……
不倫の代償
この小説はミステリー小説です。
この小説に登場する人物、団体等実際に実在していても一切関係がありません。
ある銀行の女子行員。
水沢史花は独身OLである。
女子大学を卒業後、新卒で大阪の本町にあるヤマト銀行に就職した。
就職してから3年が経過している。
今年の10月から本店営業部の融資課に配属になった。
担当業務は、融資課の所属員たちが融資案件の稟議資料を史花に凡て依頼してくる。
史花は本店営業部で扱っている融資案件を全て把握していたのである。
いつも夜遅くまで業務をし、午後9時過ぎに退社するのである。
自宅マンションは銀行から徒歩で20分位のところにあった。
すべて、常務取締役島倉蒼太の計らいであった。史花は島倉の愛人だったのだ。
この事は行員たちは誰も知らない。
2人だけの秘め事であった。
この小説を最後までお読み頂き、皆様の何かのお役に立てれば幸いです。
蔵屋日唱
二重のカーテン (スカートの下の黒い意志)
洗濯物の隙間に隠したのは、母としての祈りと、娘のプライド。
かつて、女子高生という生き物はもっと無防備で、自由だった。
44歳の主婦、愛子が朝のベランダで手にするのは、娘たちが毎日履き替える漆黒のオーバーパンツ、通称「黒パン」。それは、令和を生きる娘たちが自らの尊厳を守るために身に着ける、鉄壁の「鎧」だった。
小学校時代のママ友たちとのランチ会。そこで語られるのは、ブルセラショップに下着を売っていた奔放な50代、無防備なまま凛と歩くしかなかった40代、そして「見せないこと」に命を懸ける10代の、あまりに深い断絶。さらには、階段で石像のように固まる父、生徒の背後に立たないよう神経を削る教師……。
一枚の黒い布を通して浮き彫りになる、現代社会の歪さと、その根底にある不器用なまでの「優しさ」。
ベランダに干された黒いカーテンの向こう側に、あなたは何を見ますか?
裏切りの代償
かつて夫と共に立ち上げたベンチャー企業「ネクサスラボ」。奏は結婚を機に経営の第一線を退き、専業主婦として家庭を支えてきた。しかし、平穏だった生活は夫・尚紀の裏切りによって一変する。彼の部下であり不倫相手の優美が、会社を混乱に陥れつつあったのだ。
尚紀の冷たい態度と優美の挑発に苦しむ中、奏は再び経営者としての力を取り戻す決意をする。裏切りの証拠を集め、かつての仲間や信頼できる協力者たちと連携しながら、会社を立て直すための計画を進める奏。だが、それは尚紀と優美の野望を徹底的に打ち砕く覚悟でもあった。
取締役会での対決、揺れる社内外の信頼、そして壊れた夫婦の絆の果てに待つのは――。
自分の誇りと未来を取り戻すため、すべてを賭けて挑む奏の闘い。復讐の果てに見える新たな希望と、繊細な人間ドラマが交錯する物語がここに。
エイヤ
プロレスが大好きな18歳、張切エイヤ。
身長185センチ、体重100キロ。あることをきっかけに、総合格闘技のジムへ通うことになる。
個性豊かな仲間との練習、初めての試合、そして思いがけない結果。
やがて、リングの外でも騒動に巻き込まれていく――。
笑いと悔しさ、家族と仲間。
プロレス好きの青年が、自分の居場所と戦う理由を見つけていく青春格闘物語
女たちが奪うリングの頂点⑦/『最強トーナメント――女王たちが奪った、男子プロレスの頂点~男が最強である時代は終わろうとしていた。』
帝プロが誇る、年に一度の最強決定戦――「覇王杯」。
昨年、男子の強豪を退けて優勝した女子レスラー・直美。
しかし、その優勝は「幸運だっただけ」とされ、男子選手たちはいまだ、その実力を認めていなかった。
直美を倒すため、誰よりも鍛錬を積み重ねてきた帝プロのエース・白川大斗。
そんな中、最後の出場枠で現れたのは、直美のかつての仲間、Satomiだった。
かつて直美の後を追っていたかつての女子レスラーは、今や男子にも匹敵するほどの力を身につけていた。
「私はあなたの、噛ませ犬じゃない」
女子二人の台頭に危機感を抱く男子選手たちは、二人を潰そうと動き始める。
だが、直美とSatomiは彼らを容赦なく打ち破る。
そして始まる最強トーナメント。
六人の男子と二人の女子。
一人、また一人と男子選手がリングから消えていく。
男子最後の砦となった白川大斗の前に立ちはだかるのは、Satomi。
そして、男子最後の砦を退けたSatomiの前に待っていたのは――直美。
最強の座を懸け、二人の女子レスラーが激突する。
男子が最強だった時代は、本当に終わってしまうのか。
女子プロレスラーの台頭と、崩れゆく男子レスラーたちのプライド。
これは、プロレス界の勢力図が大きく変わる、その瞬間を描いた物語。
※挿絵にはAI生成画像を使用しています。
ログインすると感想の投稿ができます。