寄り道
溢れ落ちる前の思いをショートストーリーで。
指輪
▶︎ 好き、嫌いとかいう
キレイゴトでは済まされない境界の残酷な日常
あらすじ▶院長の井上は、寡黙で、どこか近寄りがたい人だった。けれど、仕事を離れた彼の笑顔を知るたび、私は少しずつ目を離せなくなってい
く。
触れたいと思った指先にはいつも...。
心が苦しい...
桜雨
▶︎ 1998年。私は高校受験をした。
朝の電車で乗り合わせた冴えない男子が気になった。
春、同じ高校の別のクラスになった。彼は日々、爽やかな雰囲気に変わって行く。
私には、もう手に届かない存在になって行った。
一足遅れて咲く桜の満開とともに「それでもいい」と思えた。
白の花びらが淡いピンク色に染まりながら、次の季節がやってくる。
満開の桜に心躍らせ、アルバムに保存されていく、淡く小さな片思いだった。
白い花
▶︎ 二人だけの熱帯夜。
風を待つすだれ。
夜の湿度に溶けていく香水。
触れたかった体温が、こんなに近い。
メガネを外され、見えないからこそ、感じてしまう声や指先の熱。
「ズルい」
「ズルいこと、してるから。」
「イチって呼ばれたい」
名前を呼ぶ。それだけで、胸が痛む。
夜明け前に白い花が色づいていく。
この思いを、無意味なものにしないで。
指輪
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く。
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夜明け前に白い花が色づいていく。
この思いを、無意味なものにしないで。
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