全部、私の被害妄想でしたので!
政略結婚から一年、無口で表情の読めない夫バルデュイン公爵に「嫌われている」と思い込んできたエルディータ。
会話はなく、寝室も別、目も合わせてくれない日々。
ある日の夕暮れ、エルディータは庭園のガゼボで、夫が見知らぬ若く美しい令嬢を優しく抱き寄せ、高価な小箱を手渡す姿を目撃してしまう。
「彼はあの女性を愛しているのだわ。愛のない私は、身を引くべきね」
傷つき、悲壮な決意を固めたエルディータは、被害妄想を極限まで膨らませて離婚届を突きつける。
しかし、その瞬間、氷のように冷徹だったはずの公爵が顔面蒼白で崩れ落ち、子どものように号泣し始めた。
さらに部屋へ踏み込んできた例の美女の口から飛び出したのは、想像を絶する一言だった。
「ちょっとバルデュイン、私の可愛いお嫁さんを泣かせたら承知しないわよ!」
浮気相手の正体は、かつて十五歳で夫を産み、一族特有の奇跡的な童顔と美貌を持つ夫の実母メルシナだった。
しかも夫の冷淡に見えた態度の裏には、エルディータがまったく気づいていなかった驚愕の真実と、抱えきれないほどの巨大な愛が隠されていて――?
勘違いから始まる、すれ違いと激甘溺愛のやり直し婚姻譚。
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