「好き」と口にしたら最後、この婚姻は終わると知っている

没落子爵家の令嬢ルティアは、借金返済のために冷徹公爵カシウスに嫁いだ。

与えられた立場は「お飾りの妻」。愛も期待も、最初からない。

ただし、婚姻契約には一つだけ異例の条項が存在した。

第七条——「好き」と口にしたら、追放。
前妻に裏切られた過去を持つカシウスが自ら盛り込んだ、愛の言葉を禁じる契約。

好きにならなければ問題ない。ルティアはそう割り切ったはずだった。
けれど、寒い夜に黙って外套をかけてくる背中。

「顔を上げろ」と低く囁く声。

演技のはずの夫婦が、演技では説明できなくなっていく。

声にしたら終わる。でも、体は嘘をつけない。
好きが喉まで迫り上がるたび、ルティアは唇を噛んで耐える。

声を殺した花嫁と、その沈黙が許せない公爵の、じれったすぎる契約婚。
24h.ポイント 649pt
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