『魔王様は冒険をはじめた』 ~勇者を一万年待っても来ないので、余から行くことにした~
勇者が来ない
一年待った。十年待った。百年待った。千年待った
そして――一万年待った
かつて世界を震え上がらせた大魔王ヴァルゼオンは、人類が送り込んだ勇者を迎え撃つため、大魔王城の玉座で待ち続けていた
だが、勇者はいつまで経っても現れない
ついに痺れを切らした大魔王は玉座から立ち上がる
「……もうよい。余から行く」
一万年ぶりに大魔王城を出たヴァルゼオンを待っていたのは、彼の知る世界とはまるで違う時代だった
人間と魔族が交易し、魔法は大きく発展し、冒険者ギルドなる組織まで存在する
しかも一万年前に世界を恐怖させた自分の名は、もはや歴史と伝説の彼方
ならば好都合
正体を隠したヴァルゼオンは、冒険者「グレン」として勇者の行方を探すことにする
そこで出会ったのは、世話焼きな駆け出し冒険者の少女リリア
宿の取り方も、貨幣の価値も、現代の常識もよく分からない大魔王に呆れながら、彼女は一万年後の世界を教えていく
ただしヴァルゼオンには、一つだけ重大な問題があった
――強すぎる
初級魔法を使えば災害扱いされ、危険な魔物を討伐すれば英雄扱いされ、本人は普通に依頼をこなしているだけなのに冒険者としての名声だけが上がっていく
「余は魔王なのだが?」
やがて二人の冒険は、一万年前に勇者が大魔王城へ辿り着かなかった本当の理由へと繋がっていく
これは――
勇者を一万年待ち続けた大魔王が、待つことをやめて世界を歩き始める物語
一年待った。十年待った。百年待った。千年待った
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だが、勇者はいつまで経っても現れない
ついに痺れを切らした大魔王は玉座から立ち上がる
「……もうよい。余から行く」
一万年ぶりに大魔王城を出たヴァルゼオンを待っていたのは、彼の知る世界とはまるで違う時代だった
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しかも一万年前に世界を恐怖させた自分の名は、もはや歴史と伝説の彼方
ならば好都合
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――強すぎる
初級魔法を使えば災害扱いされ、危険な魔物を討伐すれば英雄扱いされ、本人は普通に依頼をこなしているだけなのに冒険者としての名声だけが上がっていく
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