孵化した私ですが、お父様の過保護が止まらない?!
「氷の王子」
——それが、この国の第一王子であるレオンハルトにつけられた異名だった。
冷酷無比で感情の起伏を見せず、政治においても戦場においても一切の容赦がない。
そして何より、彼は人間ではない。
王家に時折発現する「龍族」の濃い血を引いており、すでに数百年という途方もない時間を生きている。
彼にとって、人間の短い一生など瞬きのようなものだった。
その日、レオンハルトは深い森へ視察に訪れていた。
鬱蒼と生い茂る木々の隙間から差し込む光の中、彼の鼻腔をある匂いがくすぐった。
それは、何百年も凪いでいた彼の魂を激しく揺さぶる、甘く、それでいて狂おしいほどの引力を持った匂いだった。
(……番、か)
龍族にとって「番(つがい)」は絶対の存在だ。
本能が惹きつけられるままに森の奥へ進むと、苔むした大樹の根元に、それはあった。
淡い真珠色に輝く、美しい模様が刻まれた大きな卵。
レオンハルトはひざまずき、そっとその卵に触れた。
かすかな温もりと、中に宿る小さな命の鼓動が伝わってくる。
間違いない、この中にいるのは自分の運命の番だ。
氷のように冷たかった彼の赤い瞳に、初めて熱い執着の火が灯った。
彼は自分の外套を脱ぎ、卵を大切に包み込むと、誰にも触れさせまいと自らの腕で抱えて城へと帰還した────。
——それが、この国の第一王子であるレオンハルトにつけられた異名だった。
冷酷無比で感情の起伏を見せず、政治においても戦場においても一切の容赦がない。
そして何より、彼は人間ではない。
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彼にとって、人間の短い一生など瞬きのようなものだった。
その日、レオンハルトは深い森へ視察に訪れていた。
鬱蒼と生い茂る木々の隙間から差し込む光の中、彼の鼻腔をある匂いがくすぐった。
それは、何百年も凪いでいた彼の魂を激しく揺さぶる、甘く、それでいて狂おしいほどの引力を持った匂いだった。
(……番、か)
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かすかな温もりと、中に宿る小さな命の鼓動が伝わってくる。
間違いない、この中にいるのは自分の運命の番だ。
氷のように冷たかった彼の赤い瞳に、初めて熱い執着の火が灯った。
彼は自分の外套を脱ぎ、卵を大切に包み込むと、誰にも触れさせまいと自らの腕で抱えて城へと帰還した────。
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