腹ぺこ獣は山を渡る
旅に出て最初に盗んだのは、焚き火だった。
三年前、六本の手足と光る腹を持つ獣〈灯腔〉に転生したラズ。
火は旨い。苔も悪くない。だが、食い道楽の旅に出た途端、密猟者の荷箱へ詰められるとは聞いていない。
箱から逃げ出した彼を拾ったのは、橋師見習いの少女ニナと運び屋たちだった。
自分の食い扶持を稼ぎながら、巨大な生き物である山から山へ渡っていく。
縄橋を食べる虫。
人間を信用しない同族のクオ。
思いがけず雇われた講習所。
そして、生きた山の内側へ続く坑道。
火を食べられても、腹が減る。怪我もする。強い相手には負ける。
それでも、次に一緒に飯を食べたい相手が増えていく。
人の姿へ戻らない主人公と仲間たちが、自分の足で行き先を選ぶ冒険長編。
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