異世界召喚された君を追って独学で転送装置を発明した俺が、なぜか魔王として君臨している。
隣の家に住む幼なじみの少女、天宮澪(あまみや・みお)。
主人公の久瀬悠真(くぜ・ゆうま)にとって、澪は物心ついた頃からずっと隣にいた、誰よりも大切な存在だった。
明るくて、少し不思議なことが好きで、夜空を見上げながら「この世界のどこかに、私たちの知らない世界があると思う?」と尋ねてくる少女。
悠真はそんな澪に、いつしか恋をしていた。
けれど、想いを伝えることはできなかった。
高校二年生の夏祭りの夜、澪は突然、姿を消した。
家族も、友人も、警察も、誰一人として彼女の行方をつかむことはできなかった。家出の痕跡も、事件に巻き込まれた証拠もない。まるで、最初からこの世界に存在しなかったかのように。
澪の失踪後、悠真は彼女の行方を探し続けた。
あらゆる失踪事件を調べ、古代文明の文献を読み漁り、都市伝説や超常現象を研究し、大学では物理学と情報科学を専攻する。やがて彼は、世間から見れば突拍子もない仮説にたどり着いた。
澪は、この世界から消えたのではない。別の世界へ移動したのではないか。
最初は、現実から逃げるための妄想だった。
しかし、調査を重ねるうちに、悠真は奇妙な事実を発見する。
澪が失踪した夜、世界各地で観測された原因不明の空間異常。数百年前の古文書に記された「星の門」。そして、特定の条件下でのみ発生する、物理法則では説明できないエネルギー反応。
それらはすべて、ある一つの可能性を示していた。
この世界とは異なる法則で成り立つ、もう一つの世界。
そして、その世界へ人間を送り込む現象――異世界召喚。
澪は、誰かによって異世界へ召喚されたのではないか。
その仮説を証明するため、悠真は人生のすべてを研究に捧げることを決意する。
それから十年。
二十七歳になった悠真は、研究者としての将来も、安定した生活も、周囲からの信用も犠牲にしながら、ついに異世界への干渉を可能にする理論を完成させる。
だが、理論が正しければ、異世界への道を開くには膨大なエネルギーが必要になる。
しかも、召喚された人間が元の世界へ戻れる保証はない。
それでも悠真は、迷わなかった。
「十年だぞ、澪。十年も待たせたんだ。今度こそ、俺が迎えに行く」
完成した転送装置で異世界に行くと
澪が国の伝説魔法剣聖で…………俺が魔王?!?!
これは、一人の少女を探すために十年を費やした青年が、世界の理を解き明かし、あらゆる常識を越えて異世界へ挑む物語。
たとえ世界が違っても、十年の時が二人を隔てても。
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