異世界デビューに失敗した俺の開き直り人生

 ラスター子爵家の次男アルガス・ラスターは転生者である。

 最も、アルガスがその事実を確信したのは大分成長した後……基礎学校に入学し、その中ほどに差し掛かろうというかなり時間が経過した後の事だった。
 原因は現地の言葉が全く理解できなかったために意思の疎通が困難だった事があげられる。

 自分が生まれ変わったのだという事は物心ついた頃には自覚していた。
 言葉がわからないから日本以外の国である可能性が一番高いと思いつつも、どこかここが“異世界”なのでは無いかという思いもあった。

 前世がインドア派だった事もあり、異世界転生物のラノベもそれなりに嗜んでいた事が原因だろう。
 それもあって幼いころから転生物のお約束であるチートな能力の模索や、ありがちな魔力鍛錬法なども試したが全く効果を表さなかった事から、結局は外国のどこかに生まれ変わったのだろうと結論した幼き日。

 ──それがいきなり覆った──

 学校に通うようになって言葉を覚え、読み書きを習得する過程で、ここが異世界である事を知った。
 そして、貴族の子息でありながら、言語の習得さえ覚束ない低能力の出来損ないという認識が定着してしまっている事を知ってしまったのだ。

「アルガス。お前は成人した後はこの屋敷に置いておくつもりは無い。ラスターの家名を名乗る事も許さない」

 既に色々と手遅れになってしまった事を自覚したのは、基礎学校の卒業が間近に迫った頃に父親であるラスター子爵に成人後の放逐を言い渡された時だった。
 それまでの生活で自分には他人に比べて大きく優れた能力は無いと理解していたアルガス。
 辛うじて異世界チートと言えなくもなかった貴族というステータスも失う事で、本当にただの一般人になってしまうのだと自覚してしまう。

 それでも。

「一度死んだ後にもう一度生きる事が出来るだけでもラッキーだよな」

 もとよりあまり深く考える事が得意では無かった事が幸いし、アルガスはそれはそれで開き直って生きる事を決める。
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