友達だったことにして
高校二年生の榛名千景(はるなちかげ)は、一年前に交通事故で亡くなった“親友”・燈守澪(ともりみお)の命日に、思い出の写真をSNSへ投稿する。
「ずっと忘れないよ。私の、一番の親友」
多くの共感が寄せられたその夜、死亡しているはずの澪のアカウントから、千景のもとへフォローリクエストが届く。
さらに翌日から、澪のアカウントには一年前の写真が毎晩一枚ずつ投稿され始める。だが、その写真は千景の知らないものばかりだった。
《本当に親友だった?》
匿名の言葉とともに、少しずつ暴かれていく二人の過去。
調べるうち、千景はある事実に気づく。澪が死ぬ半年前から、二人で写った写真は一枚も存在していなかった。
かつて千景は、澪が書いた悪口のスクリーンショットを軽い気持ちで友人へ転送していた。それは瞬く間に学校中へ広がり、澪は孤立する。二人の友情も壊れていた。
そして澪が亡くなる前夜、千景のスマホには、
「明日、話せる?」
というメッセージが届いていた。
千景はそれを読まずに放置した。
翌日、澪は死んだ。
葬儀で周囲から「親友だったもんね」と言われた千景は否定できなかった。やがて彼女自身も、“親友を亡くした少女”という物語を信じ始める。
死者は、自分の思い出に反論できない。
けれど、壊れてしまった友情まで偽物だったのだろうか。
やがて千景は、澪が生前に残した一つの言葉と向き合う。
────友達だったことにして。
それは過去を偽るためではなく、楽しかった日々までなかったことにしないでほしいという、澪の最後の願いだった。
記憶と罪悪感、喪失と赦しを描く、青春SNSミステリー。
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