ミステリー 心理サスペンス 小説一覧
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10件
1
十四歳の火
中学のとき、僕は人に言えないことをひとつ持った。それを持ったまま十年、この家の食卓で飯を食ってきた。
僕が先に覚えたのは、襟だ。
白い。汗の染みがない。アイロンの筋が肩の線に沿ってまっすぐ通っている。シャツの皺は肩甲骨のところにだけあって、そこは椅子の背が当たる場所だから、皺があるほうが正しい。
髪は後ろでひとつに束ねてある。結び目の高さが毎日同じだった。うなじの細い毛が朝の光で白く光る。石鹸の匂いがした。柔軟剤ではなく、石鹸のほうの匂いだ。
――本文より。
全十二章・完結。
※放火、いじめ、自殺に関する描写を含みます。この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません。
2
ただの楽しい日常ですよ
彼が見てる世界とは一体なんなのでしょうね。
3
契約の果てに
クラスでいじめられていたエルはある死神と出会い契約をすることになる…
4
ピースアー 繕われた真実
死者の衣を洗う店〈ピースアー〉。――香りが戻るたび、真実がほどけていく。
タイ語で蝶を意味する「ผีเสื้อ(ピースアー)」は、直訳すれば「幽霊の衣」。
死者が羽衣をまとうように、もういちどこの世を舞う――という信仰がある。
大きな事故で夫を失った高瀬梨紗は、〈ピースアー〉という古いクリーニング店の店内で、亡き夫の衣を洗い直す提案を受ける。
店主・飛木祐奈が手に取った布には、失われた時間の温度がまだ残っていた。
香りの記録を辿るように、梨紗はかつて夫と交わした言葉を思い出していく。
青い光の蝶が舞うその瞬間、封印された“真実”が少しずつ浮かび上がっていく――。
〈ピースアー〉は、愛した人をもう一度この世に留めるための、最初で最後の洗い直しの物語である。
――真実は、洗われても跡を残す。
5
茜は誰に殺されたか
高校二年生の茜が、学校の校門前で少年に刺殺された。
現行犯逮捕されたのは、茜をストーカーしていた十五歳の少年・泰司。
だが、笹川刑事にはどうしても腑に落ちないことがあった。
なぜ泰司は人目の多い校門で茜を殺し、逃げなかったのか。
やがて浮かび上がる、茜の妹・美希の存在。
姉妹の間に隠された確執と、泰司の歪んだ愛情。
果たして、茜を殺したのは誰なのか――。
6
マルコス探偵は今日も疲れている
古びた洋館、沈黙の家族、そしてまた一人、死者が出た。 だが、誰も驚かない。誰も泣かない。 それでも、マルコス探偵は現場に足を運ぶ。 疲れた目で、嘘を見抜き、沈黙の中に潜む真実を拾い上げる。
母は神と話し、娘は音に逃げ、甥は皮肉で武装する。 そして、死体だけが礼儀正しい。
これは、疲れた探偵が今日もまた、 “語らない死体”と“うるさい沈黙”に向き合う物語。
――死体は語らない。だが、沈黙はうるさい。
7
復讐の女神
普通の主婦が、夫と親友に裏切られて、親友を傷つけてしまう。
そこから人生の転落が始まり、自分の子供までを巻き込んでいく。
復讐の女神と化した女の末路は一体どうなっていくのか。
裏切りと復讐、そして親子の愛憎を描く、ドロドロ系のヒューマンドラマです。
※殺害、死傷、心理的虐待の表現があります。苦手な方はご注意下さい。
8
「深煎りの底に沈む」
喫茶店「マルグリット」を舞台に繰り広げられる、静謐にして重厚なミステリーサスペンス。元新聞記者の坂本新拓は、ある日ふと立ち寄ったその喫茶店で、品のある謎めいた女性・橋本麻里と出会う。店のマスターは古風な紳士で、まるで時間の止まったような空間を提供していた。しかし、常連客たちの失踪、過去の未解決事件、そして麻里の言動に潜む違和感が、坂本の探究心を徐々に揺さぶっていく。
取材の名目で真相を追い始めた坂本は、次第に喫茶店と町に絡みつく過去の罪と秘密に引きずり込まれていく。信頼と疑念、記憶と虚構が交錯する中、彼が辿り着いた真実は、あまりにも皮肉で残酷だった。最終章、麻里が見せた微笑みの意味とは──。
静かに焙煎されるコーヒーの香りの奥に潜む、深い苦味のような謎が、読者の心をじわりと締めつける。美しくも哀しい余韻を残す、どんでん返し小説。
9
【彼女の計画_外伝】新作公開!影たちの物語 ~拓と瞳・光莉の章~光の中に咲く業(ごう)
【彼女の計画_外伝】 影たちの物語。
本編では描かれなかった「もう一つの視線」を持つ者たち――彼らは何を見て、何を思ったのか。
シリーズ全体について
「見る/見られる」の連鎖の中にいた、もう一人の彼ら――影たちの物語を、どうぞ。
10
レイナは今日も、生活をほどく
金髪、ネイル、軽い口調。
一ノ瀬レイナは、訪問リハに来るには少し派手すぎる作業療法士だった。
けれど彼女は、利用者の歩き方だけを見ない。
玄関の段差、椅子の位置、家族の声色、湯呑みを握る指先、言葉になる前の沈黙。
生活の中に隠れた違和感を、笑顔のまま拾い上げる。
転倒後の廃用と筋力低下で訪問リハを受けることになった高瀬義明。
その妻・澄江は、誰が見ても献身的で完璧な介護者だった。
薬も水も杖も、夫の手が届く場所に整えられている。
家は転ばないように整えられていた。
同時に、夫が動かなくても済むようにも整えられていた。
レイナは気づく。
この家で本当に止まっているのは、義明の足ではない。
廊下の奥にある、開けてはいけない部屋。
玄関に残された古い「絵画教室」の木札。
澄江の爪に残る青い絵の具。
そして額縁の裏に隠されていた、一通の入選通知。
かつて義明は、澄江が絵を描く人生を奪った。
才能がなかったからではない。
才能があったから、怖かったのだ。
レイナは作業療法の名目で、夫婦の過去をほどいていく。
手指の運動として筆を持たせ、歩行練習として玄関へ向かわせ、生活行為の再開として封じられた記憶に触れる。
そのやり方は優しい支援なのか、それとも追い込みなのか。
レイナにも忘れられない過去がある。
退院間近だった文房具屋の店主・岸本春夫。
歩けるようになり、家に帰れるようになった。
けれど彼が本当に望んでいた「もう一度だけ店に立つこと」を、レイナは見落とした。
今度こそ、見落とさない。
そう思うほど、レイナの介入は危うくなっていく。
これは、サイコパス気質のギャル作業療法士が、老夫婦の生活に隠された支配と後悔を暴いていく心理サスペンス。
そして、誰かの生活をほどきながら、自分自身の結び目にはまだ触れられない女の物語。
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