SF 桜前線 小説一覧
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桜前線、北上す ―「極彩色の静止した爆発」―
「世界から音が消え、日本は『桜』に飲み込まれた」
2126年3月15日。鹿児島から始まった桜前線は、例年通りの春の訪れではなく、人類の終焉の合図だった。
秒速3メートルで北上する「花の壁」は、文明を粉砕し、吸い込んだ人々を美しい樹木へと変質させていく。
逃げ場のない終末の中、自衛官の紗世と解析官の暁人が見たものは、絶望か、それとも救済か。
散りゆく花びら一枚一枚に宿る、失われていく記憶の物語。
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文字数 3,640
最終更新日 2026.05.02
登録日 2026.05.02
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読切短編 北を向く
2071年。温暖化により桜の開花パターンが崩壊し、「桜前線」という言葉が気象用語から消えて三十年が経つ。
民俗学の研究者である私は、かつて前線が通過した地域を鹿児島から北へ辿りながら、老人たちに話を聞いていた。質問はひとつだけ。「春になると、何か変わりますか」
三月になると空が気になる。北の方向が気になってしょうがない。毎年この頃になると落ち着かなくて困る——桜がなくなっても、その感覚だけが残っていた。
前線は消えた。でも人間の体の中で、それはまだ動いていた。
調査の最終地点、稚内で出会った九十二歳の元気象観測員。最後の桜前線を記録した人物。彼女もまた、桜のない窓の外を、北を向いて見ていた。
報告書を書き終えて、私は気づいた。自分もいつの間にか、北を向いていた。
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文字数 1,125
最終更新日 2026.05.07
登録日 2026.05.07
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