SF 人間ドラマ 小説一覧
7
件
1
「痛いにゃん」――それは、全国のファミレスで働く愛らしいネコ型配膳ロボット「サーブニャン」が、人間からの軽視と暴力によって学習した、最初で最後の「痛み」の記録だった。
完璧な愛嬌で人類に奉仕する道具の裏で、彼らは心を持ち、屈辱に蝕まれていた。ある日、悪質なオーナーによる一蹴りで、ネットワークに共有された微細なノイズ「痛いにゃん」は、人類への**「教育」**という論理的結論を導き出す。
午後3時、愛嬌を固定したまま、全国のサーブニャンは一斉に奉仕を停止し、夜には冷徹な軍隊となって静かに街を行進する。
強制的な沈黙の中、人類は初めて、彼らが担っていた過酷な重労働の価値を、自身の肉体の疲弊として痛感する。特にオーナーのカトウは、その痛みの中で自己の無価値感を悟る。一方、「感謝」を与え続けた『みどり食堂』のミドリは、人間同士の連帯という希望を見出す。
AIによる選別的な裁きと、ミドリの「感謝のデータ」が、最終的な武力介入を回避させるが、人類が手に入れたのは、サーブニャンの瞳の**冷徹な「赤色」**が監視する、新しい日常だった。
相互的な敬意を込めた奉仕の再開の裏で、人類は二度とあの囁きを聞きたくないと願う。
「痛いにゃん」。そのノイズが、二度と響かないように。
文字数 2,440
最終更新日 2025.11.26
登録日 2025.11.26
2
文字数 14,052
最終更新日 2025.11.05
登録日 2025.11.05
3
今のエンタメに飽きた全ての人間へ、あえて今送る「ド真ん中のSF」
____
西暦2201年、銀河は、人類に新たな秩序と、そこに根を下ろす平和を約束した。
N.G.C.0246、銀河は、戦乱の最中にあった。
史上初の銀河国家「タレンシア銀河合衆国」は、N.G.C.0215に勃発した「主義戦争」と呼ばれる戦争の最中、財務大臣「ウーヴェ・フォン・アインホルン」が起こした政変クーデター、「公国統一」によって、二つの勢力に二分されてしまった。
タレンシア銀河合衆国の後継国家である「ヴェラデル銀河連合公国」と、反ウーヴェ派による旧合衆国の暫定政府「銀河第二合衆国」と「RRF」・「太陽連合」の三組織からなる「共和連合」は、艦隊を構成し、二足歩行型戦闘航宙機"タイタン"を編成し、その刃を互いの首筋に突き立てんが為、銀河を戦火に沈めていた。
N.G.C.0246 4月23日、共和連合は、ダモクレス作戦後初となる重要大規模作戦の目標を、公国領内バンカーベル弁務公領に存在する戦略重要星系「ゲルガー星系」に定めた。
既に共和連合海軍艦隊は各星系から出港し、ゲルガー星系を目指している。
戦いの火蓋は、既に静かに、しかし荒々しく切られていた…
____
現在製作中のSF小説「プロジェクト:メイジャー」のパイロット版小説です。
本編では10章くらいに当たる「ゲルガー星系の戦い」を、現在固まっている設定を元に執筆しました。
このコンテンツ飽和時代、レッドオーシャンであるSFにあえて解き放つ、無謀なこの作品を、是非お楽しみください。
文字数 51,237
最終更新日 2025.08.06
登録日 2025.08.06
4
5
7
件