ファンタジー じれじれ恋愛 小説一覧
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1
収納魔法で朝ごはん、明け方の塔で君と暮らす
王都の魔術倉庫で働いていたアフェレシは、責任ばかり押しつけられる暮らしに疲れ、王国北東の盆地セレス外縁へ移り住む。彼が使えるのは、物をしまうだけでなく、温度や湿度、香りまで整えて保管できる希少な収納魔法。静かに暮らすため借りた古い倉庫での新生活は、窓から入ってくる狩猟補助員カースィン、帳簿と記録に強いニカ、遅刻ばかりなのに腕は確かな石工モナリス、肩の力を抜いたまま皆を動かすラユン、そして湯気の立つ薬草茶で人の心をほどくオードリーに巻き込まれ、少しずつにぎやかになっていく。
薬草採集、保存食づくり、共同浴場の修理、夜の勉強会、灯り市の支度。アフェレシの収納魔法は、暮らしを整える力として集落に根づいていった。だが夏の終わり、王都から使者が現れ、彼がかつて保管していた「明け方の塔」の記録を理由に呼び戻そうとする。さらに秋口には、盆地を脅かす薄明獣の大移動が迫っていた。
強大な一撃で敵を倒す話ではない。薬草の香り、干し果実の甘さ、湯気の立つ茶、誰かの朝ごはんを守るために積み重ねた備えが、やがて土地そのものを救う力になる。
2
王立劇場を辞めた名無しの代役、外れ役紋【空白】で訳あり役者の旅一座を始めます~七つの町で今日も満員御礼です~
十二年間、彼女の名前がポスターに載ることはなかった。
王立劇場で働く二十九歳のリヴィアは、誰かが倒れたときだけ舞台に立つ「名無しの代役」。
彼女の役紋は、何も刻まれていない外れの【空白】だった。
どんな役にも一晩だけ合わせられるため、劇場からは便利に使われてきた。けれど、どれほど完璧に演じても、拍手も名声も看板女優のもの。リヴィアへ向けられる感謝はない。
王国中の貴族が集まる記念公演を救った夜、支配人は言った。
「代役に名前はいらない。お前の代わりもいる」
その瞬間、リヴィアは十二年間勤めた王立劇場を辞めることにした。
劇場の外で彼女を待っていたのは、人前に立つとうまく声を出せない脚本家ノア。
「今度は、あなたの名前を台本に書かせてください」
彼が率いる旅一座〈青い天幕〉に残されていたのは、穴の開いた天幕、古びた舞台馬車、たった三脚の客席だけだった。
しかも、巡業札の期限まで残り九十日。
一座を存続させるには、七つの町で客席を満員にしなければならない。
耳の聞こえない影絵師の少女。
美しい声を持ちながら、自分の役を見つけられない元歌姫。
英雄と呼ばれることを嫌う、片脚の元工兵。
リヴィアたちは旅先で出会った訳ありの仲間を迎え、それぞれが無理なく輝ける舞台を一つずつ作っていく。
石切り町では、英雄ではなく帰りを待った家族の物語を。
声を出せない風の町では、言葉を使わない影絵芝居を。
戦勝に沸く町では、鎧を脱いだ兵士たちが心から笑える喜劇を。
やがて明らかになる【空白】の本当の力。
それは、誰かの役を借りるだけの力ではなかった。
仲間と観客の心が重なったとき、この世界にまだ存在しない「新しい役」を生み出せる、特別な役紋だったのだ。
一方、リヴィアを失った王立劇場では、代役不足や若手の離職が重なり、公演が少しずつ立ち行かなくなっていく。
今さら名前を看板に載せるから戻ってほしいと言われても、もう遅い。
リヴィアが立ちたい舞台も、帰りたい場所も、共に歩きたい人も――すでに自分で見つけている。
これは、誰かの代わりにしかなれなかった女性が、訳ありの仲間たちと七つの町を巡り、自分の名前で拍手を受けるまでの物語。
温かなお仕事と仲間づくり、そして舞台に立つ女優と舞台に立てない脚本家の、ゆっくり育つ恋のお話です。
3
魔王城すこや課、本日も無事社畜です!
過労で倒れた社畜女子シオンの転生先は、まさかの魔王城。
無邪気に暴虐無人な上司(魔王)のもとで便利屋事務員としてドタバタな日々を過ごすうちに、寡黙な悪魔レヴィアスの思わぬ優しさに惹かれはじめていた。
ある日、突然変異したモンスターの暴走によって魔王城での生活は一変。
ーーそれは変異か、陰謀か。
事態を解明するために、シオンたちは世界各地で奔走する。
直面したことのない危険や恐怖に立ち向かうシオンは、それを支えるレヴィアスの無自覚で一途な愛情に翻弄されて……?
働くことでしか自分を認められないシオンが、魔王城で働く魔物たちの心をほぐしながら自分の価値を見つけていくファンタジーお仕事じれ恋ストーリー。
※caitaでも投稿中です
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