ファンタジー ゴシックホラー 小説一覧
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ジョアンナ・ヴァン・ヘルシング ――The Vampire Queen
ドラキュラ伯爵に杭を打ち込んだ男、ヴァンパイアハンターのヴァン・ヘルシングには妻がいた。その妻がアンデッドになっていたら?! ブラム・ストーカーの小説「ドラキュラ」にはこうある。「そして私は、私にとっては死んでいるけれど、しかし教会法では生きていることになっている、もう心もない妻」。小説原典にはこれについてそれ以上の説明はない。死んでいるのに生きている。死んでいるのに葬ることができない存在、はっきりと死んだ状態にない存在。死んでいるように見えるが死んでいない。生きているように見えるが死んでいる。彼の妻は不死者ではないのか?ヴァンパイアハンターであるヴァン・ヘルシングは、本来ならば不死者に対しては躊躇いなく胸に杭を打ち込む。だが、それが愛する妻ならば、杭を握る手に、槌を振るう手に、力を込められただろうか?思い出して欲しい。ヴァン・ヘルシングは小説「ドラキュラ」でヴァンパイア化したルーシーに杭を打ち込む役を誰に任せたかを。ルーシーの婚約者であるアーサー・ホルムウッドだった。あれは苦い自戒ではなかったのか?自らの躊躇いゆえの過ちを若い世代に繰り返させないための非情の決断だったのではないか。いまかつての妻は幽閉されていた結界の牢獄を脱出した。彼女はヴァンパイアクイーンとして何をしようとするのか?
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ヘーゼル坊ちゃんの言うとおり!
「くっそー…こんなの給金に見合わん。ぜったい追加で請求してやるからな…」
俺は腹の底から叫んだ。
…心の中で。
王都からはるばる来た俺に与えられた仕事は、
「ヘーゼルくんに取り入り、彼の一挙手一投足を見つめなさい」
---幼い子どもの監視役だった。
「庭のお花を見ていたんです。おかあさんが好きな野薔薇が咲いているから」
窓辺から庭を眺めてヘーゼルが言う。
不自由となった脚を車椅子に乗せて。
「観察? 監視の間違いではありませんか?」
あんな小さな子どもを監視だって?
「彼は唯一の生還者です。有力な情報を得られる可能性があるのは、もはや彼しかいない。貴方には期待していますよ、アレックス・コストナー」
村に蔓延する謎の病。
その唯一の回復者がヘーゼルだという。
病かなんだか知らないが、金を積まれるならやってやるさ。
楽勝の仕事だと拳を握った矢先、
「----魔女、ですか?」
俄に暗雲が立ち込める。
「ヘーゼル様は魔女を退けた英雄の血筋なんですよ」
魔女伝説?
時代錯誤も良いとこだ。
今は科学の時代だぞ。
「…本当にあったことなのです」
たった8歳だ。
生まれて8年しか生きていない子どもだぞ。
「神がいるのなら、悪魔も、魔女もいる。ねえ、先生。そう思いませんか?」
…だったら。
幼い子どもがあんな目をするか…?
「は…、か、隠し通路…?」
蔓延する原因不明の流行り病。
領地に伝わる魔女伝説。
子どもが隠している秘密。
その一端に触れたとき、少女の紅いくちびるが弧を描く。
「----可愛いでしょう? わたしのオモチャ」
俺の一攫千金の仕事はどうなる!?
※ 実際の本編のテンション及びセリフとは少々異なる場合があります。
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